第171話 予言
ドラゴは上を見上げる。
「確かに居るみたいだな」
上を見上げながらドラゴは告げる。
上を見ただけでデュークの存在に気づけるとは思えない。デュラークは半信半疑でドラゴを見つめる。
上を見上げていたドラゴは真っ直ぐデュラークを見つめる。
(……そうか。竜の目)
ドラゴの目は人間の目からかけ離れた力強い目へと変化していた。
ドラゴは目を閉じる。再びドラゴが目を開けると竜の目では無くなっていた。
「弟に何の用だ?」
デュラークは話を本題に戻す。
「女王が予言をされた」
「予言?」
「お前も知っているだろ?」
デュラークは知っていた。イギリスの女王は予言能力を持っている人だ。
その予言で何度もイギリスを救い。国民からの人望も厚い人物でもある。
その他にも様々あるがチーム[円卓の騎士団]を組織させた人物でもある。
「何を予言された?」
デュラークが気にするのは予言の内容だけだ。
その内容に応じてデュラークは行動を変えるからだ。
「お前の弟を拐う為、チーム[ヴァルハラ]動くらしい」
「……チーム[ヴァルハラ]が」
デュラークは驚きを隠せなかった。それは声を聞いただけで分かる程だ。
そんなデュラークの声を聞いてドラゴはこれで話が通じると安堵の笑みを溢す。
「わかるだろ?チーム[ヴァルハラ]とイギリスが全面戦争になったら勝てるだろうが……被害が大きく出るだろう?だから、一人の命で終わらせようぜ……この戦争を」
「……」
ドラゴの提案にデュラークは何も答えられない。
それもその筈、弟のデュークの命を取られると言われ、何も答えられない。
「……お前の承諾無しでも殺すぞ」
「……1日時間をくれ」
「何をするつもりだ」
「チーム[ヴァルハラ]は食らうつもりだろ?」
「リーダーのベルセルク・フルベルクの能力は確かに能力喰いだ。相手を喰らいて初めて発動する能力だが……対策でも?」
「能力喰いは相手の肉体を食べる事だが、最も必要なのは、脳だ」
能力喰いは珍しい能力では無く、多くの人間が使える能力とも言える。しかし、相手を喰らわなければ無能力者と言っても良い。
しかし、相手を食らえば、食った魔法、能力、異能を奪う事が出来る能力だ。しかし、相手の肉体を喰らい続ける精神力が必要となる為、並大抵な人間では扱えないが、ベルセルク・フルベルクは違う。
多くの人間を喰らい、多数の魔法、能力、異能を持った世界で一人だけの男だ。