第162話 魔法の鎖(グレイプニル)
「木山……廉は……貴方の……幼なじみ……でしたよ」
「はぁ?」
冷静だった仁は激しく動揺する。
「どう言う事だ?」
「……私から……言えるのは……記憶……障害……なのでは?」
「俺とあいつが幼なじみ?」
「一族を失った……貴方は……記憶……の……一部が……欠落……したのでは?」
「はぁ」
仁は一度深いため息をつくと冷静さを取り戻す。
「その話を後で良い……」
仁は鉄格子を強く握る。
「俺と来い」
「……それは出来ない」
「何故?」
仁は正宗に問いただす。
「檜山家を……守れなかったから……には貴方を守る為……にこの命を……使いたい……しかし、」
正宗は無言で光輝く鎖を揺さぶる。
「その鎖……ただの鎖ではない様だな」
「これは……魔法の鎖……静岡支部の杉崎家に……よって造られる……代物だ」
「つまり、その鎖が無ければ来るんだな?」
「出来るので……あれば……この命……貴方の為に」
仁は笑みを溢すと両手を紅色の炎を纏わせ、鉄格子を握る。
鉄格子は直ぐ様、溶ける。
それと同時に警報が鳴り始める。
「仁、どうする?」
警報音が鳴り初めて碧人は仁に確認を取る。
「どうもしない」
「えっ?」
「正宗はチーム[クリムゾン]に必ず必要な存在だ……必ず連れていく」
仁は右手を紅色の炎の纏わせる。
仁は光輝く鎖を右手で握る。
光輝く鎖は一瞬で燃え上がると鎖を消滅させる。
「まさか……魔法の鎖を消滅させる……とは」
繋がれた鎖から解放された正宗は思わず声を溢す。
(……やはり魔法の鎖を簡単に消滅させる程の威力……檜山仁はただ者では無い……僕の目には狂いは無かった)
デュークは仁の炎を見て、確信する。チーム[クリムゾン]に入って正解だったと言う事を
「デュークは転移魔法で全員を外に移動させろ」
「……分かった」
デュークは仁の指示通りに転移魔法で移動を開始させる。
移動先は山の頂上にあるデュークの住みかの屋敷だ。
「仁、何を考えている?」
「何がだ?」
「これは犯罪だ」
「違うな」
「……どう言うことだ?」
「正宗はエネルギーを奪う為だけに居た」
「エネルギー?」
「極一部の人間しか知らないが犯罪者達の生命エネルギーや魔法、能力、異能力等を奪い取ったのがエネルギー開発所で造られている」
「……学校の授業では火力発電や核と教わったが?」
「俺を信じるか?それともその下らない戯言を言う教師を信じるか?」
二人に割ってデュークは話始める。
「イギリスのエネルギー開発所の事情はかなりオープンだよ」