第160話 人材
「はぁ……こいつを入れた?」
「問題は無い……実力はある」
「こいつが?」
「こいつがだ」
仁の言葉に碧人はデュークを睨み付ける。
「胴体の割りに随分と小さい頭してるんだな」
「あぁ……兜の大きさにはこだわりは無いんだ……顔が無いからね」
「……はぁ?……顔が無い?」
デュークの言葉に碧人は仁を見つめる。
「こいつはデュラハンだ」
「はあぁ……嘘だろ」
碧人はデュークの頭を見つめる。
そんな碧人にデュークは兜を取る。
「仁の言う事は本当だよ」
疑う碧人に対してデュークは証明するために兜を取り、顔が無いことを見せつける。
ここは教室であり、見ているのは碧人だけで無いため、教室にいる一部の生徒達の悲鳴が飛び交う。
「良いから早く兜を被れ」
デュークは碧人に言われるがまま手にしていた兜を取り付ける。
そんな碧人は一つの疑問があった。
「普通に会話してたけど……口も目も無いのに」
「あぁこれは」
デュークは鎧の胸に埋め込まれていた魔法石に手を当てる。
そんな二人を見て、どこかで見た光景ーデジャブを感じていた仁。
二時限目の授業が始まり……午後の特別活動の時間となった。
特別活動は何をしても良い。主な活動内容は依頼活動になるだろう。
そんな特別活動の時間にチーム[クリムゾン]の三人は理事長室の前までやって来ていた。
「デューク……クラーク?」
「確かにそうだけど……」
理事長室の前まで来て碧人とデュークは話を続けていた。
「クラーク家って言ったらイギリスの上流貴族の一族だろ」
「確かにそうだけど……」
話を続ける二人を置いて仁は理事長室の扉をノックする。
「どうぞ」
理事長の声に仁は扉を開ける。
仁に続いて、話をしていた二人は話を止め、仁の後に続く。
「檜山君」
理事長は仁の姿を見ると朗らかに話す。
そんな理事長は仁の後ろに居るデューク、碧人に目を向ける。
「デューク君……学校に来てくれて嬉しいよ」
「……そう……ですか」
デュークは答え憎そうに告げる。
「それで何の用かな?」
「山梨支部の地下に行く許可を貰いに来た」
「……理由を聞いても?」
「古き知り合いに会うために」
「入れる場所は極一部でも良いのかい?」
「それで十分だ」
「直ぐに用意するよ」
理事長は一枚の紙を机の引き出しから取り出すと机の上にあった判子を押す。
「これを」
理事長は紙を仁に向ける。
仁はその紙を手に取る。
「……君が何をしようとしているかは見当がつく。……無理はしないでくれ」
「……俺はチーム[クリムゾン]を最強にすると決めた。決めた以上半端な事はしない」