第159話 三人目
デュークの申し出は仁にとっても魅力な話だ。
魔法を扱い、武器はデュラハン・ブレイブを持ち、白魔術:錬金術を扱えるデューク・クラークが仲間になればかなりの戦力になる事は直ぐに理解出来る。
しかし、仁は答えない。
一番の理由は素性の分からないデュークの考えが読めない事だ。
仁が考えを巡らせる中、デュークは魔法陣から兜を取り出し、装着する。
胴体は赤い鎧に対してデュークが取り出した兜は白色だ。
兜はかなり小さいが顔が無いため大きさは大した問題にはならないが、その姿は少し……かなり異様なものだ。
「何が目的だ?」
「兄に聞きたい事がある」
「兄?」
「デューラク・クラーク……管理する神参加ーチーム[ゼロ]の副団長を守る為だけに結成されたチーム[三羽烏]の一員だ」
「……良いだろうチーム[クリムゾン]に入れてやる」
「チーム[クリムゾン]……では今日からお願いするとしよう」
仁はデュークの不安要素よりも魔法とデュラハン・ブレイブを評価してチーム[クリムゾン]に入れる事にした。
「今日からチーム[クリムゾン]に必要なメンバーを集める」
「心当たりがあるのかい?」
「一人は東京本部に居る。後は調べておく」
仁は立ち上がり、その場から動き出す。
「明日は学校に行くよ」
「……そうか」
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4月3日
山梨支部の高校の一年のクラスはいつもは違った雰囲気が漂っていた。
魔法、能力、異能に本来分けられる筈だが、現在は、合同の教室で生活を行われていた。
そんな教室に包帯だらけの転入生石原碧人と赤い鎧に小さめの白い兜を被ったデュークの居るクラスは何とも言えない雰囲気の中、仁だけは笑みを溢す。
チーム[クリムゾン]に必要な副リーダーにして氷の金剛石の異能力者であり、東京本部に居たときからの付き合いのある人物の登場に仁は素直に喜びを見せる。
「どうかしたのか?」
一時限目の授業が終わり、仁の机には碧人がやって来たのだが、包帯だらけのその姿に仁は碧人に尋ねる。
「負けてしまった……チーム[アブノーマル]の川上舞と……上原氷雪に」
暗い表情を見せる碧人に横からいきなり登場した男が告げる。
「チーム[雷帝軍]の副リーダーの上原氷雪の氷は世界でもトップクラスの速度を誇るらしい……気にする事は無いよ」
碧人の隣に現れたのはデュークだが、碧人にとっては訳も分からない人物に慰められる状況に碧人は怒りを露にする。
「……嫌……誰だよ……お前?」
「僕はデューク。よろしくね」
「悪いがお前と関わる事は無い……消えろ」
そう言う碧人に仁は告げる。
「……そいつは昨日からチーム[クリムゾン]の一員になった男だ」