第158話 デュラハン
デュークは走る仁に向かってデュラハン・ブレイブを投げる。
仁は身を屈め、デュラハン・ブレイブを避ける。
直ぐ様立ち上がり、デューク目掛け右手で殴り付ける。
その拳はデュークの顔に直撃する。
それと同時に右手に覆われていた紅色の炎が勢い良く放出される。
その威力は鎧の兜を破壊する。
その一撃を放った仁は倒れる。
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仁は目を覚ますと遥か上にはシャンデリアがぶら下がっていた。
仁は理解する。ここは山の上にあり、デュークが住んでいた屋敷だと言う事を……
中世の城山。それがこの場所を表す言葉だ。
「目を覚ました様だね」
デュークの声に仁は体を起こす。
「……お前……首はどうした?」
そう言いながら仁は自身が首を飛ばした事を思い出す。
しかし、疑問が残る。口も無いのに何故話せるのか仁には分からなかった。
「気にする事は無い。元々僕には首は無いからね」
「首が無い?」
困惑する仁に対してデュークは魔法陣からデュラハン・ブレイブを取り出す。
「僕の兄であるデューラク・クラークによって僕の首は切り落とされた」
「……実の兄に首を落とされるか?」
「あの人は錬金術師としては尊敬出来るが、人としては尊敬出来ない人だ」
「首が斬られた事は分かったが……それで、その首は?」
「兄が持っている。その変わりと言わんばかりにこのデュラハン・ブレイブを置いていった」
「……それで何でお前話せるんだ?」
仁は一番気になる事をデュークにぶつける。
デュークは鎧の胸に埋め込まれていた大きな魔法石に右手を触れる。
「ここに埋め込まれた魔法石で相手の言葉を理解出来るし、見る事も出来るし、会話を出来る」
「はぁ?」
「簡単には説明出来ないけど、それが出来てしまう」
仁は考えることを止めた。
それよりも何故ここに連れて来られたのかを考え始めていた。
「それで何故俺をここに?」
「君に魅力を感じたからさ」
「魅力?」
「人としても……力も……その全てが」
「……魅力を感じたら、誰でも助けるのか?」
「君には言葉では言い表せない何かを感じた……進化も覚醒も関係ない……君には……」
「いい加減にしろ……それでお前がどうする?学校に来るのか?来ないのか?」
「君は学校に行くの?行かないの?」
「暫くは……行くが……用が済んだら、やるべき事をする」
「やるべき事?」
「管理する神を潰す」
「やっぱり……君は面白い……足手まといにはならないと思うけど……」
「はぁ?」
「僕も参加させてくれないか?」
「参加?」
「君の無茶な戦いに」