第153話 乱入
紫音の氷神の花畑によって動きと巨大化を止める事に成功した紫音だが、その顔色は優れない。
紫音の限界はそこまで来ていた。
「廉……今のうちに決めてくれ」
「おう」
廉は炎神の魔剣を強く握る。
刀身は真っ赤になる。廉は炎神の魔剣を上に掲げる。炎神の魔剣は激しい炎に包まれる。その炎は鉄の塊以上に大きくなる。
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このまま行くと廉の一撃に破壊されてしまうだろう。そんな状況で、屋上に居る二人はただ眺めていた。
「あぁ……体内に宿った機械仕掛けの神は凄かった筈だろう?」
「……確かに今の機械仕掛けの神は増殖だけしか出来ない様だ」
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「これで終わりだ」
天高く燃え盛る炎神の魔剣を鉄の塊に目掛けて振るう。
紫音が拘束している為、鉄の塊は動けずに廉の一撃を受ける事になる。
鉄の塊は真っ二つに切り裂かれる。
「やったのか?」
「……どうだろう?」
二人が様子を伺う中、鉄の塊ー機械仕掛けの神は鉄を次々と出し、直ぐ様元通りに戻っていく。
「この再生能力は厄介だね」
「何とかしないとなぁ」
再生していく、機械仕掛けの神を見ながら、紫音と廉は呆然と立ち尽くす。
そんな時の事だ。
廉と紫音の頭上高く、紅色の炎が円柱の形で飛ぶ。
紫音はともかく、廉は知っている。
「紅蓮の炎」
廉はその炎を見てその能力名を口にする。
廉の目線は自然と炎を放った少年に向けられた。
「……檜山……仁」
廉が予想もしていなかった人物の登場に廉は無言のままその人物を見つめる。そこには檜山仁、石原碧人の他に廉の知らない四人が居た。
「……廉」
紫音に名前を呼ばれ、廉は紫音を見つめる。
紫音は鉄の塊を指を指している為、廉は鉄の塊に目を向ける。
鉄の塊は再生を続けるが次々と溶かされていく。
「……何て凄まじい炎なんだ」
驚きの声を上げる紫音に対して廉は無言を貫く。
廉の知る紅蓮の炎とは別物になっている事に廉は気がつく。
紅色の炎に焼かれた鉄の塊は再生出来ずに居た。そんな鉄の塊は凝縮する。
「全く……檜山仁、チーム[ゼロ]の誘いを断って……俺達と戦うつもりか?」
屋上に居る二人はデューラクの転移魔法で移動した城山は目の前に居る檜山仁を睨み付けながら告げる。
そんな仁と城山を見ながら、デューラクは鉄の塊が凝縮した剣を握る。
デューラクはドレアから受け取った賢者の石を使用して錬金術を使い剣にしていた。