第148話 不完全な人間
北海道支部の外のとある屋上に二人の男が立ち並ぶ。
「デュラーク……何処で殺るつもりだ?」
隣に居る男に対して、顔を見る事無く話す男は原型崩壊の能力者の城山一哉だ。
そして城山の隣に居る人物はデュラーク・クラーク、世界トップクラスの錬金術の使い手として名の知れた男だ。
「ここで殺る」
デュラークは魔法陣を出現させる。
魔法陣から一人の男が出てくる。
「そのガラクタが役にたつのか?」
「……一応チーム[三羽烏]の一員だ」
「俺とお前とこのガラクタでチームを組む何て……やる気がでねぇ……ガラクタの試運転は俺が殺ってやる」
「駄目だ。君の能力に耐えられるだけの性能は備わっていない」
デュラークのその話の途中で城山は二人の男に気づく。
屋上に城山達に対して、その男達は街道をゆっくりと歩く。
「デュラーク……丁度良いアリンコが歩いているぞ」
城山は歩いている二人の男達に指を指す。
デュラークは暫く考えると行動に移す。
「……では、彼らにお願いする事にするよ」
デュラークのその言葉を聞いて城山は座り込む。
「そう。俺はここで見てるよ」
デュラークは転移魔法を使用、魔法陣を出現させ、移動する。
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「廉」
「どうした?紫音?」
城山が見つけた男達、木山廉と佐倉紫音は舞達と別れ、北海道支部以外の調査をしていた。そんな二人の前に二人の男が立ち塞がる。
「デュラーク……クラーク」
「デュラーク?」
「世界でトップクラスの錬金術師」
「そんな奴が何でこんな所に?」
廉と紫音が動揺する中、力ではデュラークは話を進める。
「君達にはこの男の相手をして貰う」
廉と紫音はデュラークの発言に驚きを隠せない。
いきなり現れた男は自身では戦わず後ろに控える男に戦わせると発言する。
二人は理解が追い付かずに居ると再びデュラークは話を続ける。
「後は頼むよ。チーム[三羽烏]の一人として、やるべき事をやって貰うよ」
デュラークは後ろに居る男にそう告げると魔法陣で移動する。
デュラークは先程まで居た屋上に戻る。
「もう、終わりか?」
「後は彼に任せた」
「彼?……あれを人間扱いするのか」
「するよ。造ったからこそ、愛情が沸く」
「愛情……ね?」
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「どうする?廉」
「どうするって?」
デュラークがその場から消え、残された一人の男は無言のまま立ち尽くす。
二人が分かっている事は少ない。
しかし、一つだけ分かっている事がある。この男がチーム[三羽烏]の一員だと言う事。