第143話 神田翔vsドレア・ドレス
翔が右手に移動させた剣状になっているケルベロスをドレアに目掛けて振るう。そんな翔にドレアはブラックコートを魔力を流し、大きさを変化させ、黒神の衣によって強化された剣状になった袖を振るう。
ぶつかり合う二人の剣を舞は見ている事しか出来ずに居た。
剣をぶつけ合う中、翔は一人感じていた。
目の前に居る女性は本当に女性なのか?
翔がこの疑問に至った理由は1つ。
二人は剣をぶつけ合うがドレスの力が凄まじく、女性とは思わせない程だった。
しかし、目の前に居るのは確実に女性だ。
翔は後ろに下がり、再び剣を振るう。
ドレアは簡単に防ぐ。
「終わりにしましょう。後ろの川上舞と殺りたいの」
「殺りたければ、僕を先に倒してからにして貰おうか」
「そうさせて貰うわ」
ドレアはそう告げるとゆっくりと浮遊する。
魔法を扱える者ならコツさえ覚えれば飛ぶ事が出来る。
ドレアが飛ぶのに対して翔はただ見上げるだけだ。
翔も魔法は扱えるがドレアの様には飛べない。
翔は魔法と能力ー魂の操作が扱えるが、これ等を賢者の石と共に錬成して造られた異能ー雷獣の三頭が居るため、魔法も能力も中途半端になってしまった。
ケルベロスは翔の魔力の半分と能力の半分以上を奪った為、魔法を使用した飛行は出来ない状況になっていた。
「ゲロス」
翔は肩に乗るケルベロスに告げる。
ケルベロスの頭が一つ移動し、背中に移動する。
「……私に対抗出来るかしら?」
ドレアは翔の姿を見て、告げる。
頭が一つ移動したケルベロスはマントに姿を変える。
背中にはケルベロスの頭が残っている。
雷獣の三頭は翔の意思によってどんな姿にも変化する事が出来るケルベロスだ。
翔は全てが雷で出来たマントで翔は飛行を始める。
肩に乗る頭が一つだけのケルベロスを見て翔は判断する。
「ゲロス……相手はドレア・ドレスだ。本気で行くよ」
翔のその言葉に反応するかの様に動く。
ケルベロスは翔の左手に移動すると姿を変えていく。
その姿は全てが雷をしたひし形に変わっていく。
中心にはケルベロスの頭がある。その姿は盾の様に見える。
「ケルベロスを全て武器にしたみたいだけど……それで私に勝てるかしら?」
「勝つさ……必ず」
舞を残して宙に飛ぶ二人は空での戦いを始める。
ケルベロスを全て体に戻した翔はこれで魔法と能力の全てを取り戻す事を意味している。
 




