第142話 神田翔
総助が兄との戦闘を行う事になって、先に移動が出来る様になった翔と竜一は当麻家にやって来たが、辺りには誰も居ない。
壁、地面を見れば、誰かが戦闘した事が分かる。
詰まり翔達は戦闘の後に来た事になる。
当麻家の屋敷では翔達が来る前に当麻総一朗とその父親が戦闘していた。
現在は二人とも居ない。
「翔、多分当麻家も」
神田家では賢者の石が1つ残らずに無くなっていた。
その為、ここ当麻家でも魔武器が無くなっている可能性を竜一は翔に告げる。
「……そうだね」
「加藤家にも行って見るか?」
「うん。行こう」
二人は転移魔法を使わずに徒歩での移動を開始する。
徒歩での移動は周りの状況を知る為に必要な事だ。
「翔、転移魔法を使おう」
加藤家に向かう二人は加藤家に激しい雷撃を目にする。
竜一に促され、翔は頷く。
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「あら、貴方達も私と戦うつもり?」
転移して来た翔と竜一は目の前のドレア・ドレスに驚く中、ドレアは至って冷静だ。
翔と竜一は辺りを確認すると彩美と舞が横たわる。
「竜……二人を連れて行ってくれ」
「翔は?」
「やるべき事が出来た」
「良いんだな?」
「……行ってくれ」
竜一は翔の指示通り動く。
しかし、舞はふらつきながら立ち上がる。
「……大丈夫なの?」
「……うん……早く連れて行って」
舞は翔の隣に立つ。
「無理をすると良く無いよ」
「大丈夫……私はやれる」
「竜、後は任せて」
竜一は無言で頷くと転移魔法で移動を始めた。
舞は一本の剣を妖魔剣創造によって造り出す。
舞が手にしている剣はどす黒く、細い。
これは普通の剣では無く、魔剣だ。
舞はさっきの戦いで普通の剣を簡単に折られた為、魔剣で対抗する事にした。
「二人同時に相手してあげる」
ドレアの挑発的な態度に翔は動く。
「ベロス、行くよ」
翔の肩の上に乗って居る雷を帯びたケルベロスは地面に着地をすると頭を1つ翔の右手に移動させる。
翔の右手に移動したケルベロスの頭は頭上から雷を伸ばす。
「ドレア・ドレス先ずは、僕が相手だ」
「良いわ」
翔は移動を始める。
動き出す翔に地面に居たケルベロスは翔の肩に飛び移る。
翔の右手に居るケルベロスは剣状になっている。それに対抗する様にドレアもブラックコートを伸ばし、剣状にする。
ただの布のブラックコートでは簡単に破られるだろう。
しかし、ドレアには黒神の衣がある。
その為、ドレアが纏う黒い衣服は強度を増し、影響を受けない。
その為、翔の雷の剣に触れても感電する事は無い。




