第138話 総助の後悔
兄が北海道支部に行ってから総助の日々は変わらない。
白魔術:忍術に覚醒出来る様に厳しいカリキュラムをこなす日々だ。
それは以前とは比べ物にならない程だ。
兄が黒魔術:忍術に覚醒した為、総助の覚醒もそうなると考え、服部家の人間達は総助の管理を厳重にしている。
そんな中、総助の救いは兄だった。
新聞、ニュースで、服部半蔵の名を目にする事だ。
兄の服部颯真としてでは無く、服部半蔵だが、総助にとっては兄の活躍と生存確認出来る為、毎日確認を怠らない。
「どうする?」
「何が?」
「半蔵……って言うか颯真の事だ」
「確かに北海道支部に活躍を取られるのは……」
総助はそんな話を何度も耳をする。
近くに居れば半蔵ー颯真を恐れ、離れればその力を手放した事を後悔する者達が服部家に溢れていた。
総助自身も憧れていた兄の偉大さと存在の大きさに居なくなってから気づく事になる。
そんな総助が出来る事は兄を追いかける事だけだ。
兄とは違い白魔術:忍術の覚醒に成功し、服部家の反対を押しきって北海道支部の高校に通い初める事になった総助と兄の再会は総助が望まない結果になった。
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忍者刀を逆手で持つ兄弟は未だに動かない。
最初に動いたのは兄の半蔵だった。
動いたと言っても忍者刀だけだ。
一歩も動かずに逆手で持つ忍者刀を持ち直し、総助に剣先を向け、勢い良く伸ばす。
半蔵の持つ忍者刀は総助が持つ普通の忍者刀は違い魔法石を錬金術で強化された忍者刀だ。
半蔵が錬金術を使った訳では無く、この様な忍者刀は何処でも入手が出来る。
真っ直ぐ伸びてくる忍者刀に総助は自身が持つ忍者刀で防ぐ。
ただ伸縮があるだけの忍者刀の為これ以上何もせずに元の大きさに戻す。
忍者刀の最大の弱点である短い刀身は半蔵にとっては関係が無い事だ。
それとは違い総助の忍者刀は通常の忍者刀を扱っている。この差は余りにもデカい。そもそもが圧倒的な力の差が有るのにこれ以上の差があるのは致命的だ。
お互いに忍術を扱えるにも関わらずに忍術を使う様子も無い。
総助は自身が持つ忍者刀を短さを生かす為、接近戦に持ち込む。
接近戦に持ち込む事に成功した総助は何とか兄である半蔵の体術に食らいつく。
接近戦になってからは半蔵は忍者刀を伸ばす様子も無い。
お互いに忍者刀を逆手に持ち、忍者刀をぶつけ合う。
総助は忍者刀を振るう手数を己の限界の限り続ける。
普通の剣とは違い、手数の勝負が出来る。その為、総助の手数の多さに対応出来る様に半蔵は錬金術で魔法石と同化した忍者刀の伸縮を一切せずに、元々の大きさで総助と戦いを続ける。