第122話 黒魔術(オーバーロード):強化魔法
「これで終わりだ」
黒魔剣は激しい雷に包まれる中、総一朗の全身も雷が包まれる。
「……強化魔法?」
黒魔術:強化魔法は黒魔術の中でもマイナーな黒魔術だ。
黒魔剣と強化魔法の相性はとても良い。
黒魔剣は少しの魔力でも反応してその属性を引き出す剣だ。
強化魔法も似た性質で、通常の魔法でも凄まじい魔法に強化できる。
「やめろ……体が……壊れるぞ」
黒魔剣に雷属性の魔法を使い、強化魔法で更に雷を強化した総一朗だが、それ以外にも総一朗は全身から雷を放出とゆうよりも雷を纏っている様に見える。
通常の人間が耐えられる筈もない雷に総一朗は耐えている。
これは強化魔法で人体を強化しているからだ。
つまり、総一朗は雷を強化された体で耐えている状態だ。
それは体の外だけでなく、内側もだ。
人間の体には微弱だが、電気が通っている。
人間が動く時に脳内に弱い電気の信号を送る事で動く事が出来る。
現在の総一朗は通常の人間よりも早い段階で動く事が出来る。
しかし、一歩間違えば脳にダメージを受けてしまう。諸刃の剣の手段だ。
それでも総一朗は止めない。
これ位しないと父親には勝てない事を総一朗は知っている。
総一朗は動く。
総一朗は素早く、父親の背後を取る。
父親はそれに見事に対応して見せる。
父親は目で追えた訳では無く、ただの勘だ。
目の前から消えたから背後に移動したのだろうと言う勘だ。
こういった勘が効くものと効かぬものとの違いは戦場では天と地程の差が出来る。
父親の勘は一級品だ。
野生の勘と言うのがこの父親には相応しいだろう。
父親は黒竹光を振るう。
しかし、総一朗はそれを高速でかわす。
総一朗には当たらなかったが、身に纏う雷と、黒魔剣の雷が少し吸収された。
少しだけだが、総一朗はふらつく。
体の全体から雷を纏っている総一朗は微妙な調整の元、雷の量を調整していた総一朗は雷の量を減らされた事によって、体が追い付いて居ない状況になってしまった。
雷の量を調整していた総一朗の雷の量は多くても、少なくても体に異常が出てしまう。総一朗は少なくなった雷を元の量に戻す。
総一朗の呼吸は荒く、足元もふらつく。
(やはり、全て吸収されてしまう。最後は……この剣とこの体で)
総一朗は右手に持つ黒魔剣を強く握り締め、左手にも力を入れる。
総一朗は覚悟を決める。
全身から大量の雷の放出は離れていても、黒竹光の餌食になってしまう。
それに、どれだけ高速で移動しても対応されてしまう。
だが、移動はしっかりと出来る事をさっき確かめた総一朗は次の攻撃に全てをかける事を決める。