第12話 謎の炎
(やったか?)
俺が放った一撃はまともに当たった様に見える。
檜山仁は避けなかったのか?
「この程度か?」
檜山仁の声だ。
未だに激しく燃える炎とは裏腹に小馬鹿にするような挑発的な声だ。
この声が意味するのは全く俺の攻撃が効いていない。
「嘘だろ」
炎神の魔剣から放たれた炎は未だに消える事なく燃え続ける。その炎を貫き檜山仁の紅の炎が回転しながら一直線に俺に向かって来る。
(炎神の魔剣で防ぐ)
前回の時の剣では防げなかったがこの炎神の魔剣なら防げるはずだ。
炎神の魔剣は片手剣だ。
俺はその炎に対して横を向き、炎神の魔剣を地面に突き刺し、右手を柄に、左手は大きく開き刀身に当て、檜山仁の炎を受ける体制を整えた。
「うぅ……この位なら……」
炎神の魔剣は砕けず、欠けることもないこの攻撃は凌げる。
檜山仁の炎はいきなり大きくなる。二、三倍は大きくなる。
(耐えれない……)
俺は耐えきれずに後ろに吹き飛ばされる。
ゴンッ
廃工場の壁に叩きつけられる。
俺は右手に持つ炎神の魔剣を見つめる。
……あり得ない。
炎神の魔剣の炎を貫き、攻撃してくるなんて……玲奈さんの話じゃ、炎神の魔剣の火力は魔法、能力、異能の中でもトップクラスって言っていた。
それを堪え忍びながら攻撃をしてくるなんて……もしも檜山仁の炎も俺と同じトップクラスの炎だとしてもどう防いだ?
俺の炎神の魔剣は攻撃力はかなりのものと思うけど……檜山仁はそれ以上だ。それに防御力もある。
……攻撃力、あいつの炎は急激に大きくなった……あいつは一体どんな能力何だ?
嫌、魔法なのか?異能力って可能性もある。
俺が見た感じ、攻撃と防御が同時に出来る炎系の能力者ってところか。
そんな能力あるのか?
俺が放った炎神の魔剣の一撃は辺り一面を燃やしていた。それは間違いない。そしてまだ燃えている。
檜山仁が防ぐにしても自身を守る為に全体を防御したはずだ。
そして檜山仁が炎を出す時は手から出していた。
……無理じゃないか……これ
俺の考えが正しければ檜山仁は自身の炎で防御し、攻撃は手から打たないと出来ない為……檜山仁は自身の防御の炎と俺の炎を貫いた攻撃をした?
出来るのか?
檜山仁の防御の炎を貫いて攻撃できたとしても威力は弱まるはずだ。
あの時の炎は弱まるどころか強くなっていた。
檜山仁……こいつの炎の謎が分からない限り俺は勝てない。