第118話別行動
東京本部から北海道支部に移動していた木山廉、佐倉紫音、川上舞、加藤彩美の四人は北海道支部から離れた場所に移動したが……
「何でこんな所に隠れなければいけないんだよ?」
「仕方ない。外に居る人達は皆幻覚にかかっている」
廉の愚痴に怒りながらも答える彩美。
現在、四人は誰も居ない屋敷に身を潜めていた。
屋敷には誰も居ない。
しかし、家具等に埃は無く、掃除は細かく丁寧にしてある事が見てとれる程だ。
「いつまでもここに居れないよ」
舞の言うことに誰も口をださなかった。
屋敷に住む人間がいつ帰ってくるか分からないし、ここに居ても何も出来ない。
「幻術は元々居た人だけにかれられたみたいだし、僕らには影響は無いみたいだから、外に出ても良いと思うよ」
紫音は現在の状況を説明する。
確かに転移魔法で移動していた廉達四人は何の影響は無い。
幻術にかけられた人はふらつきながら徘徊している。
屋敷から見える人達の動きはパターンがある。
この動きに何の意味があるのかは全く分からないが現在の状況では情報量が少なすぎるのが現状だ。
動くにしても慎重に事を進める必要がある。
これ程の幻術を扱えるのはドレア・ドレス位だとゆうことは屋敷に居る全員は把握している。
少なくとも、ここ北海道にはドレア・ドレスが居ることは確実だ。
「それじゃ、行くか」
廉は全員に告げる。
「悪いけど、私は一度家に戻るわ」
彩美のその言葉に舞は反論する。
「待って、一人で行くなんて危ないよ。私も行くよ」
彩美は少し驚きの表情を見せるが頬を赤く染め、笑顔で答える。
「ありがとう」
「ちょっと待てよ」
廉は二人の間に割って入る。
「何?」
彩美の不機嫌そうに廉を睨み付けながら告げる。
「何って、皆で行動したほうが良いだろう」
舞の事が心配な廉は何とか一緒に居られる様に仕向けようと動く。
しかし、彩美の様子を見る限り、譲るとは思えないが廉も引くつもりも無い。
舞も一度決めた事を曲げる様な女でな無い事は廉が一番分かっている。
だからこそ廉は、行くなとは言わずに、一緒の行動を取るべきと告げた。
「転移魔法で移動して、魔装を取ってくるだけ」
彩美は廉に説得を試みる。
「廉、僕は別行動を取るべきだと思う」
紫音は廉に告げる。
この場に廉の見方が居なくなった状況でも廉の考えは変わらない。
今まで舞を守ると決めていた廉は簡単には引き下がれない。
「危険がある以上一緒に居たほうが良いだろう」
「今、僕たちの居る場所と、北海道支部の両方を同時に攻略出来れば効率が良い。それに僕達以外にも全国から救援が来るはず」
「ここでやるべき事が終われば北海道支部に行けるんだよな」
「うん」
「分かった」
廉は皆の説得を諦め、早く合流出来る方法で納得する。