第113話 神の手
玲愛はペガサスのキーホルダーに入れていた異能力を自身の力に変換した。
ペガサスのキーホルダーには玲愛の母親の異能力が入っている。
憤怒の悪魔の異能力だ。
憤怒の悪魔は大罪シリーズの一つで使用者の怒りに応じて強さが変動する異能力だ。しかし、玲愛は憤怒の悪魔の異能が全て使える訳では無く、憤怒の悪魔の全てを手に変換した形として扱う。
体内に入っている憤怒の悪魔は玲愛の身体中から出す事が出来るが、全てが手の形に限定された状態だ。それは本来の憤怒の悪魔とは別物だ。
玲愛の能力神の義手は覚醒すると神の異形な手の異能力として機能する。
神の異形な手は死んだ生物を手に変換できる異能で、魔法、能力、異能を手に変える異能だ。
玲愛は一度、変換した手をキーホルダーに入れて保管している。
変換していた手をキーホルダーから出すにはこのキーホルダーに対して異能を発動すれば、入れていた能力を使う事が出来る。
現在玲愛はペガサスのキーホルダーの中に入っていた憤怒の悪魔の異能を使う事が出来る。それとは別に神の義手も通常通りに扱える。
玲奈はポケットに手を入れ、フェニックスのキーホルダーを取り出す。
フェニックスのキーホルダーには山梨県で手に入れた檜山エンマの能力炎の裁きの能力が入っている。
「少し、本気で行こうかしら」
玲愛は全身から黒いオーラを放出しながら、右手には憤怒の悪魔の異能の手、左手には炎の裁きの能力の手した姿で目の前に居る男に告げる。
男からしたら、その姿は異形な者にしか見えなかった。
「少しか?」
これで全力で無い事に驚きを隠せない男に更なる絶望を与える。
玲愛の背中から大きな光輝く巨大な手を生やす。
「あり得ない……神の手……なのか?」
男の顔色は誰が見ても分かる程変わる。
神の手は全てを打ち消し、無力化すると言われる代物だ。
この神の手を宿す人間を巡って幾つもの血が流れたと言われる程の物だ。
男が呆気に取られている間に玲愛は光輝く神の手を伸ばす。
「離せ……」
神の手に捕まれた男は小さな声で告げる。
「ここで終わりよ」
男は光輝く手の中でもがくが逃げられそうも無い。
玲愛は激しく燃える左手を突き出す。
その手は炎の裁きの能力が備わっている。
燃えゆくその手はゆっくりと男の元に近づく。
「止めろ」
「残念だけどそれは無理」
玲愛のその言葉と同時に激しく燃える手は男を握り潰す。
何か悲鳴が聞こえる。しかし、それは言葉には聞こえない。
光輝く手に握られた男は魔法を扱える事は出来ずに無抵抗のままだ。
玲愛は無表情のまま神の手と燃える手を握る。
暫くするとその手は玲愛自身の手に戻る。手を開くと右手にはペガサスのキーホルダー、左手にはフェニックスのキーホルダーが手の上にあった。
玲愛はポケットにその二つのキーホルダーは入れる。




