第11話 炎神の魔剣(レヴァンティン・ソード)
「やっと出したなぁ」
俺は炎神の魔剣を檜山仁に向け続ける。
檜山仁の炎の正体が分かるまでうかつに近づく事も出来ない。
先ずはあの炎を見極める。
「どうしたんだ。そのレヴァンティンは飾りか?」
明らかな挑発だ。
炎もまともに食らったら俺は死ぬだろう。
この距離を保ち、あの炎はこの炎神の魔剣で防ぐ。さっきの剣と違って炎神の魔剣は俺が戻すまで何があっても壊れない。だが、俺が死んらどうなるかは分からない。その後、炎神の魔剣がどうなるかは分からない。
檜山仁はその後自身の物にするつもりらしいが、出来るかは俺は知らない。
檜山仁には何か確信でもあるのだろうか?
聞いてるみるか?……そもそも答えるのか?
「何故、炎神の魔剣を狙う。そもそも俺が死んだら消えるかも知れないだろう」
俺は聞いてみた。
答えるかは分からない。
「何も分かってないなぁ。神器、名剣、有名な武器たちの多くは異能として人体に埋め込まれている。それを手にするには持ち主を殺すしか無い。持ち主を失った武器は暫くこの世に残るらしいが一時間足らずで消え、次の適正者の体に行くらしい。しかし、その前にその武器を手に出来れば話は別だ。」
「……じゃあ、俺が死んで炎神の魔剣をお前が奪えば炎神の魔剣はお前の物になるのか?」
「嫌、武器は持ち主を選ぶ。俺を拒めば次の体に行くだろう」
……じゃあ、こいつは手に出来ないかも知れないと分かった上で俺を殺そうとしているのか?
何なんだよ。
「ふざけるなぁ。お前の都合で死ねって言うのか?」
「……この世界はいつもでどこでも……弱肉強食だ。嫌なら俺よりも優れていると証明してみろ。それが出来なければ、死ぬだけだ」
正気か?……こいつ、今までの半端な奴等とは各が違う。
俺は右手に持つ炎神の魔剣を再び握り直す。
手汗が凄い。
こいつは俺を殺す為の躊躇が一切感じられない。
俺は人を殺すなんて考えられない。
そんなことをしたら……舞や玲奈さんと暮らす事はもう二度と出来ないだろう。今の俺にはそんな覚悟は無い。
とりあえずは積極的に攻撃をしていく。
「行くぞ」
俺は右手に持っていた炎神の魔剣を上に上げそのまま振り下ろす。
炎神の魔剣は地面に少しだけ触れたが地面に刺さらずに切断した。
そして、炎神の魔剣を包んでいた炎を剣圧と共に檜山仁にぶつける。