第109話 残された魔法陣
警戒しながら玲愛と楓は北海道の各地に設置されている魔法陣の破壊を続ける。警察、消防の動きから玲愛達とは逆方向に多く出動しているのが分かる程だ。
逆方向には浴衣と琴音が魔法陣の破壊をしている。
浴衣は魔法を使える為、転移魔法で次々と破壊をしているのに対して、玲愛達は徒歩での移動に加えて新人の楓が居るため、遅れていた。
楓が居なくても玲愛の移動は徒歩の為差ほどの変わらないが楓によって遅れているのも事実だ。
これ程の騒ぎなら大きく動いても良いが玲愛は自身の能力を使わずに居た。
それはドレアの命令だからだ。
玲愛の能力は神の義手。
生物以外を手に変える事が出来る能力だ。北海道中の建物等を手に変える事も出来るが現在は全く使用していない。
ここ二年で荒川玲愛とゆう少女の名は全国に知れ渡っている為、北海道に現れたと知れたら全国から玲愛を捕らえる為ここ北海道に集まってしまう。
今回の作戦は神田家から賢者の石、当麻家から魔武器、加藤家から魔装を奪うための任務だ。少しでも成功率を上げるため、玲愛とドレアの行動はかなり限定されている。任務と言っても上からの指示があった訳では無く、皆で話し合った結果今回の任務に至った。
「……少し、急ぎましょう」
玲愛は北海道支部に目を向けながら、楓に告げた。
北海道支部の人間も動き始めている。
「玲愛ちゃん。ここで合流出来たって事は全部破壊出来たって事?」
玲愛が目を向けると浴衣と琴音が居た。
浴衣の言う通りだ。二手に分かれて一周する様に魔法陣の破壊を行っていた。詰まりこれで全部の魔法陣を破壊した事になるが、玲愛の顔色は優れない。
「どうかした?」
玲愛の様子を見て、琴音は直ぐ様聞いてみた。
「誰も幻覚にかかっていない」
玲愛以外の三人も事態に気がつく。
作戦はチーム[ハンド]が北海道支部を中心に様々な場所に設置されている魔法陣の破壊。その後チーム[カオス]のリーダーのドレアの幻術が北海道にかかっているのを確認してから合流とゆう流れだった。
しかし、ドレアの幻術は全く効いていない。
この事態に考えられる事は三つだ。
一つ目はドレアの幻術の効果が遅れている可能性。
二つ目はドレアが倒された可能性。
三つ目はまだ破壊されていない魔法陣が残っている可能性。
一つ目と二つ目は考えにくいだろう。
ドレア・ドレスは魔法、能力そして覚醒して異能力まで使える事からして、この二つは無いだろう。そうなると可能性は一つだけまだ破壊出来ていない魔法陣がある。