第106話 侵入者
東京本部に北海道支部が襲撃されたと連絡があった3時間前にまで物語は戻る。
襲撃したのはチーム[ゼロ]の傘下チーム[カオス]と[ハンド]のメンバー達によって襲撃を受けた。
チーム[カオス]はドレア・ドレスを中心としたチームで、チーム[ハンド]は荒川玲愛を中心としたチームである。
彼女達の目的は北海道支部に拠点を置く名門神田家、当麻家、加藤家が守る賢者の石、魔武器、魔装を奪い取る事を目的として動くため、北海道支部とそれ以外の機関を同時に攻撃をする事が必要とされている。
北海道支部は魔法要塞とまで言われる程だ。
北海道支部は北海道の中心にあり、三分の一の大きさで、周りは無能者達が住んでいる。そこを無視して北海道支部に奇襲をかける事も可能だが難しく、断念せざるを得ない。北海道支部は様々な結界、魔法陣等出来る限りの防御方法が使われている。壊す方法としては北海道支部以外の民家や重要施設等に設置された魔法陣の破壊が最も有効な手だ。
その為、チーム[カオス]、[ハンド]も北海道支部の攻撃を諦め、先に重要施設や民家に設置された魔法陣を試みる。
チーム[カオス]、[ハンド]のメンバーは北海道に到着を無事に済ませる。
「これから、どうします?」
北海道の地に着いて早々に玲愛は隣に立つドレアに質問をする。
ドレアは少し悩むと直ぐに答える。
「二チーム居る事だし、二手に別れましょ」
「では、私はチーム[ハンド]のリーダーとして移動します」
「えぇ、私は[カオス]のリーダーとしてやるべき事をやるわ。これをお願いね」
ドレアは玲愛に一枚の紙を渡す。
「この印の所にある魔法陣を破壊すれば良いのね」
「えぇ、任せるわ。私は北海道中に幻術をかけるから」
「……幻術が終わる前には終わらせるから」
「期待しているわ玲愛」
そう言い残すとドレアはチーム[カオス]のメンバーと共に魔法陣による転移魔法で移動を始める。
「はぁ~」
ドレアが居なくなったからか玲愛の後ろに居たメンバーは大きくため息を溢す。そのため息は不運や嫌な事があった様には見えず、緊張感が無くなり、安堵のため息と言えるだろう。
「緊張してるの?」
玲愛の後ろでため息を溢したメンバーに駆け寄る一人のメンバーが駆け寄る。彼女は北見浴衣。チーム[ハンド]のムードメーカーでもある彼女は誰よりも元気で、気のきく小さな女の子としての印象が強いがここ数年で実力者としての印象も強く、現在はチーム[ハンド]の副リーダーもしている少女だ。
「やっぱり、ドレアさんと居ると緊張します」
「ドレアちゃんはいい人だよ。楓ちゃん」
山下楓。ため息を溢した少女の名前だ。
楓にとっては今回が初任務となる。茶髪でショートカットで小柄な彼女からは浴衣と同じ様に元気なイメージがあるものの現在の彼女からはそれが感じられずに初々しい緊張感が感じ取れる。




