第105話 北海道支部
……頭が痛い。
一体何が……目を覚ますとそこには天井が……
負けたのか?
……俺は周りを見渡す。
舞と紫音が居た。
俺は体を起こす。
「俺は負けたのか?」
俺は思った事を二人に尋ねる。
その答えは紫音が答えてくれた。
「廉、隣」
「隣?」
俺が隣を見ると神田翔も俺と同じ様に体を起こし、笑顔で居た。
「相討ちなのか?」
俺は隣に居た神田翔に聞いてみた。
「僕も聞いた話何だけど……止められたみたい」
「止められた」
神田翔もベッドに居るって事は俺達の剣がぶつかって居る中、俺と神田翔を同時に気絶される事が出来る人物が止めに入ったって事だよな。
保健室には俺と紫音、舞に一年の異能クラスに来た北海道支部の人間だけだ。誰が止めに入ったんだ?
「誰が止めたんだ?」
俺はその疑問もここに居る全員に聞いてみた。
誰も答えない中、紫音が話を始める。
「いきなり、雷が落ちたんだ」
「雷?」
神田翔の雷じゃないよな。自分の雷に当たるとは思えないし……誰が?
思い当たる人を俺は知らない。すると、紫音は話を続ける。
「もしかしたら、橘強絶かもしれない」
「雷をつかうのか?」
「うん。神異能力者だよ」
知らなかった。
でも、何で止められたんだ?
「止められる様な事あったけ」
俺のこの質問に神田翔は答えた。
「どうやらお互いに周りは見えてなかったみたい」
……そうか。手合わせであんなに本気を出す必要は無かったな。
「確かにやり過ぎた。悪かったな」
「嫌、お互い様だよ」
俺と神田翔はやり過ぎた事を反省して、握手を交わした。
保健室の前、勢い良く走っているのか、大きな足音が聞こえる。
「大変だ」
保健室のドアを勢い良く開けて先生が顔を覗かせ、一言。
一体何があったんだ?
「どうかしましたか?」
皆の疑問は紫音が代表して聞いてくれた。
「北海道が襲われている」
「本当ですか?」
先生のその言葉に神田翔は飛び付く。
「北海道は北海道支部以外が機能を停止している状態で、今は北海道支部の人達で対応している」
……北海道支部以外が機能を停止って事は無能者達を狙ったのか?
東京本部の場合は東京の半分の大きさとなっており、無能者と能力者が半分すづに別れているが、北海道支部は三分の一だったはずだ。つまり、現在の北海道は三分の一しか機能していない事を指す。無能者の人間は北海道支部に逃げ込むんだろうけど数が多すぎる。そもそもこのタイミングで襲うなんて……
「分かりました。行こう。総助、竜」
チーム[チャレンジャー]の皆は北海道に戻るつもりだ。
「僕は北海道支部に戻るよ」
神田翔は俺に向かって告げる。
「……俺も行く」
「えっ?」
「人手が足りないだろうし」
神田翔は俺に笑顔を見せる。
「僕も行くよ。廉」
「私も」
紫音と舞は何の躊躇も無く言ってくれた。
「良いのか?」
「もちろん。チームでしょ」
俺達チーム[アブノーマル]も北海道支部に行くことが決まった。
「俺達行くので」
俺は先生に言った。
止められそうだけど……
「分かった」
止められなかった。
「東京本部以外にも様々な支部が今動いてる。状況は最悪だ。北海道支部に近づいたチームとの連絡が途絶えている状況だ。僕はそのチーム達に連絡ををするから」
他のチーム?
全国規模で動くのか?
先生は保健室を後に……する前に紫音に呼び止められた。
「すみません。攻めて来た相手は誰ですか?」
「管理する神傘下のチーム[ゼロ]傘下のチーム[カオス]と[ハンド]だ」
「……ありがとうございます」
紫音のその言葉を聞くと先生は保健室を後にする。
「皆聞いてくれ、移動方法は転移魔法を使うから」
神田翔は俺達全員に告げる。
移動する方法としては最速だな。
「待ってくれ。相手にはドレア・ドレスだ。幻術を使う筈だ。多分連絡が途絶えてたのも何らかの妨害があるため」
「しかし、時間はない」
紫音の話に服部総助は否定的だ。
「総助。彼の言い分も分かる」
「翔、良いのか?」
「良くはない……」
「俺達は俺達でやる」
「総助」
「そっちには加藤が居る。移動も困らないだろう」
いち早く、北海道支部に向かいたい服部総助の気持ちも分かる。
「行ってくれ、後から追い付く」
「ありがとう」
チーム[チャレンジャー]の皆は転移魔法で移動を始めた。
「先に僕達は行くよ」
「あぁ、俺達も直ぐに行く」
チーム[チャレンジャー]の姿が無くなる。
「僕達は北海道支部では無く、民間に移動をしよう」
紫音の言うドレア・ドレスって奴は幻術を使うからか随分と慎重な紫音。
「……じゃあ、移動するから近づいて」
転移魔法は床に魔法陣を出し、移動をする。
加藤が出した魔法陣は狭い。
……加藤に触れてしまった。仕方無いよな。
一応、加藤の顔を確認する。
……凄い睨まれた。
俺達チーム[アブノーマル]と加藤は転移魔法によって移動をする。