第103話 三頭の雷獣(サンダー・ケルベロス)
神田翔の右手には雷が纏ってる。
更に隣には雷の狼が居る。
俺は実力不足で炎神の魔武器は同時に出せずに、現在は一つしか出せない。今は炎神の魔剣を出しているため、炎神の魔盾を出す事が出来ない為、神田翔の雷属性の魔法を防ぐ手段が無い。
……ここで俺が出来ることは接近戦に持っていく事だ。
「行くよ」
神田翔のその言葉と同時に雷で出来た狼は勢いよく俺に向かって走り出す。
神田翔は雷属性の魔法を次々と能力によって形を与えていく。
雷の鳥、雷の犬等様々な動物だ。
狼に続いて、雷で作られた動物が次々と俺に向かってやって来る。
俺は炎神の魔剣でやって来た雷で出来た動物達を切りつける。
神田翔は少し驚いた表情を見せる。
雷に触れたが俺は感電していない。
炎神の魔剣は砕けず、欠ける事も無く、他の影響を受けない。その為、俺は感電しない。
雷で作られた動物達を全て倒した。
神田翔の雷属性の魔法と魂の操作の組み合わせは驚いたが、何とかなった。
神田翔の肩に乗っていたケルベロスが床に降りた。何をするつもりだ。
「君になら本気を出せそうだ」
「今まで本気を出してなかったのか?」
「最初に話したのを覚えてる?」
「あぁ」
確か、あのケルベロスは魔法と能力を賢者の石を使って錬金術で合わせた物と聞いたが……
「ベロスこそ……僕の異能力なんだ」
「……はっ?」
「魔法、能力、異能力は進化するって知っているか?」
「……まぁ、何となくは」
「魔法は二種類、黒魔術、白魔術。能力は能力向上。異能力は覚醒とゆう様に進化するんだよ。理由は分からないけど僕の魔法と能力が合わさった時、ベロスと言う異能力に目覚めてしまった」
「良くは分からないけど……お前は魔法、能力、異能力を使えるって事か?」
「そう……なるね」
「凄いな。そんな事が出来る奴が居るなんて」
「そんな事は無い。僕の実力ではなく、賢者の石がそうさせた」
神田翔の実力でなはく、賢者の石が?
一体、賢者の石はどれだけ凄いんだ?
神田翔の魔法と能力が合わさったのがあのケルベロス。
今まで作り出した雷の動物達とは違う。
肉体もあるし、ケルベロスの意思もあるように見える。
「遠慮は要らない。本気でこい」
「ありがとう。行くよベロス」
ケルベロスの右側の頭が激しい雷に覆われる。その雷は神田翔の右手に移る。ケルベロスの右側の頭が無くなった。一体何が起きている?
「ベロスは元々、僕の魔法、能力の一部を無理矢理奪って産まれた存在……これが僕の全力」
そう言う神田翔の右手にはケルベロスの頭が雷を帯びてそこに居た。
ケルベロスの頭の頭上から雷が真っ直ぐ伸びていく。
……これは雷を帯びた剣。