第1026話 近衛騎士団複合能力部隊
ロシア近衛騎士団副隊長であるミーシャはロシア近衛騎士団複合能力部隊の管理、育成等を任されており、ロシア近衛騎士団複合能力部隊部隊長、副部隊長のアレクセイ、ゲルマンの二人はミーシャには頭が上がらない状態であり、二人はまるで母親に叱られた子供の様に立ち尽くしていた。
「エレナはロシアから出る事は許さない。これは決定事項よ。言ってあるでしょ?」
アレクセイとゲルマンの二人のミーシャのその言葉を確かめる様にお互いを見つめていた。
「……えっと、聞いてないです」
そう答えたアレクセイに続いて、ゲルマンも答える。
「聞いて無いですね」
二人の答えを聞いて、冷静さを取り戻したミーシャは考え込む。
「言ってなかったわね」
「「はい!」」
三人はエレナをロシアの外へと出さない為、エレナの元へと向かっていた。
「エレナ!」
ミーシャは身支度を始めていたエレナを見るなり、怒鳴り付けていた。
「何?」
「日本へは行かせないわ」
「何故、止めるのかしら?」
「上の命令よ」
「はっきり、言ったら?私の体に黄金聖神槍が無くなった事実を他国に知られたく無いだけでしょう?」
「……そうよ。情報は武器よ。知られては困るのよ」
「貴女ごときで私を止められるのかしら?」
「黄金聖神槍が貴女にあれば止められないわ。でも、無いでしょ?だったら、貴女を止める事なんて、単簡な事よ。私が止めるまでもなく、この二人で十分な位よ」
「……私は行くわ」
身支度を終えたエレナは勢い良く足を踏みしめ、衝撃波を三人に向かって放った。
それに対応するため、ゲルマンが立ち塞がりその衝撃波を魔法陣を出現させ、その衝撃波を止める。
「……普通の魔法陣では無いわね。それ」
「はい。近衛騎士団複合能力部隊の事を知っていますか?」
「興味無いわ」
「簡単に説明します。我々、複合能力部隊はあらゆる魔法、能力、異能を複数掛け合わせ、人体に強制的に埋め込む事に成功した数少ない選ばれた人間だけが所属を許された部隊です。私の体には五人分の魔力と二人の能力、三人の異能を体に入れる事に成功し、この力はインフィニティ・Ωと呼ばれています」
「興味無い。退け」
「それはミーシャ様から許可を貰って下さい」
「もういい。退かす」
エレナが攻撃を開始しようとしたその時、一人の老人が現れる。その老人の登場によって、ミーシャ、アレクセイ、ゲルマンの三人は膝をつく。
「……随分と暴れている様だな。エレナよ」
「足りないわ。私の力はこんなものではない」