第1023話 チーム[クリムゾン]の崩壊
風魔が京介の体を完全に取り込むと、風魔はパラスの元へ移動する。
「檜山仁お前にみたいな小物に用は無い。木山廉だ……幻魔の元となった魔水晶をレヴァンティンと同化させると、甘く見ていたよ。木山廉の全てを奪うラグナロクではチーム[パンドラ]は日本を担当する事になっているからな」
「何の話だ?」
「……遅れているな。どのみち、我々のステージに立てたとしても、お前レベルでは生き残れない」
パラスのその言葉の直後、仁の背後に居たジークが独りでに動きパラスの元まで移動させられていた。
「……連れてこれたな。冥竜」
パラスが造り出した五大竜王の一体である姿の見えない冥竜はジークを拐う事に成功していた。
「……では、行こう」
パラスが魔法陣で転移魔法を使用したその時、その魔法陣は凍りつく。
「風魔、破壊しなさい」
パラスの指示通り、風魔は両手から発生させた風で氷の破壊を試みる。
「無理だ。僕の異能は氷の金剛石。その名の通り、氷の強度はダイヤモンドそのものだ」
「……破壊は無理か」
パラスが氷の破壊が出来ない事実を把握したその時、仁は自身の少ない魔力を使用して、浮遊してパラスの頭上に移動していた。
仁が攻撃へと移行しようとしたその時、仁は何者かに叩きつけられ、地面へ倒れ込む。
「姿の見えない相手にするのは、困難だろ?檜山仁」
「黙れ、勝つ以外には何もない。全ては勝つ。その為だけに動く。俺は勝つだけだ」
「勝利への執念か。その先に何を見る?」
「勝利しかねぇよ」
仁は自身の能力である紅蓮の炎を放つ為、右手をパラスへと向ける。
「無駄だ。お前ごときの攻撃は当たらない。当たっても、無意味だ」
「あっ?」
「君レベルは世界レベルには達しない。せいぜい、日本、嫌……この山梨支部が限度だろ。そろそろ失礼するよ」
「……後悔するなよ」
「何をだ?」
「お前は俺の実力を知らない。殺してやるよ……お前は、確実に俺が」
「出来ないよ。十鬼シリーズや五大竜王、大罪魔神シリーズ、神之御剣シリーズ、聖天神天使シリーズこれらを全て倒さなければ、殺せんよ」
「……チーム[パンドラ]は俺が滅ぼす!」
「やってみると良い」
パラスは笑いながら、転移魔法で移動を終え、風魔、姿の見えない冥竜はジークを連れ去り、その場は仁と碧人の二人だけになっていた。
「仁」
「……何も言うな」
「……今のままでは、本部決定戦もチーム[パンドラ]を相手にするのも無理だろ」
「何が言いたい?」
「檜山エンマさんに修行をつけて貰おう」