第1022話 出現
碧人はエンマとの会話が終わると颯爽に山梨支部の防衛局を後にして、外で待っていた仁達と合流する。
「遅かったな」
「待たせたね。それでどうするの?」
「俺とお前は本部決定戦に参加するんだ。今ままで勝てる程、甘い大会ではない。五十嵐とデュークと共にあらゆる状況に対処出来る様に修行を行う」
チーム[クリムゾン]のその修行は本部決定戦に仁と碧人が参加することが決定してから、行っていたものであり、今日もいつもの様に修行へとチーム[クリムゾン]が向かっている最中、辺りは一瞬にして、黒いオーラを包まれ今までの景色とはかけ離れた地獄の光景へと変貌していた。
地獄と化したその場所からは悪魔や鬼の様な存在が出現していた。そんな中、五十嵐は何の躊躇も無く、鬼の様な存在に向け、右手をかざす。
五十嵐の能力は風嵐切裂であり、体中から風を発生させ、その風は圧倒的な切断力を持つ。
そんな五十嵐の右手から風が発生すると、鬼の様な存在に風を接触した瞬間、鬼の様な存在はバラバラに切断される。
「……斉木はまだ来ないんですよね」
五十嵐は鬼の様な存在の一体を倒すと、碧人に斉木の情報を聞いていた。斉木はチーム[クリムゾン]のメンバーの一人であり、現在は奈良支部の斉木家に帰っていた。
「あぁ、楠木家とのいざこざの決着がついていないらしい」
「……俺達でやるしかないと言う事か」
チーム[クリムゾン]は四人だけで、戦おうとしたその時、辺りの黒いオーラは突然、吸収されていく。
仁は突然の出来事に空を見上げ、一言思わず告げていた。
「木山廉……どこまで」
仁は廉の実力が今まで以上になっている事を目の前で見せつけられ、仁は苛立っていた。
「……五十嵐京介。見つけた」
管理する神No.8チーム[パンドラ]のリーダーのパラス・スケールは目的の人物を見つけると、魔法陣から十鬼シリーズの一体である風魔を出現させる。風魔はチーム[クリムゾン]の京介のみを狙い、それ以外は相手にもしなかった。風魔の移動は風に乗り、京介の体に風が当たると、京介の心臓を貫く。
あまりの速さに誰も対応出来ず、京介の体は風魔に奪われた。
「任務完了だな。戻れ、風魔」
パラスのその言葉に従い、風魔はパラスの元へと移動しようとしたその瞬間、仁の右手から、とてつもない勢いで紅色の炎が放出される。風魔は逃げる事を断念して、右手をかざしそこから風を発生させる。
「風嵐切裂なのか?」
仁は己の炎を相殺した風を見て、京介の能力に酷似している事を見抜く。