第1016話 ひょっとこの仮面
「ひょっとこの仮面を付けた男です」
「ひょっとこの仮面……チーム[マスク]ですか。……それで明神明、貴方はどうするのですか?」
「勿論、ひょっとこの仮面を倒すさ」
「では、ここは貴女に任せます。行きましょう」
勇治は明神を置き去りにして、先へと進もうとしていた。
「……君達も行って構わない。ここは僕がやるか」
明神のその言葉を受け、廉、紫音の二人は勇治の後に続き走り出す。
「人数を見て、隠れた様だが、もう心配は要らない。出てこい」
「……その様だな」
ひょっとこの仮面を付けた男は壁をすり抜け、姿を現す。
「……その手にした透明な神器は君自身も透過させるようだね」
「……君の心臓を刺しても死ななかった原因はさっきの会話で理解出来たよ。君の能力によるものだと言う事はね」
「知られても、構わないと判断したら告げたのさ」
「……このひょっとこの仮面に宿されてこの神器と俺の本来の能力。この二人を併用すれば君を軽く後、九回殺せる」
「九回なら、この翼が全て終わるだけだ。僕の命を断ちたいのであれば、後十回殺す必要があるけど」
「翼が無ければ、何も出来ないだろう?」
「見えているだろ?一枚失った翼はバラけて無数の羽となる。十枚の翼を失っても、十枚分の無数の羽の操作は可能だ」
「成る程、厄介だ。十回殺してしまおう」
ひょっとこの仮面の男は勢い良く、明神に向かって走り出す。明神は無数にある羽を操作し、向かってくる明神へと放つ。ひょっとこの仮面から取り出した透過な神器の効果によって、すり抜けいく。
「無駄だ」
ひょっとこの仮面の男は明神の攻撃をものとせず、手にしている神器を明神にめがけ振るう。
その一撃は的確に明神の心臓を捉え、見事に殺害した。
しかし、勝者の翼によって、翼の一枚が背から消え、何事も無かったかの様に明神は立ち尽くす。羽の量は二倍となり、明神の攻撃回数等は格段に上がったものの、ひょっとこの仮面の男が透過出来る事から、それは意味無い様に見えるが、明神にはひょっとこの仮面の男を倒す為の算段がついていた。
「二枚の翼を失い、得た羽だけ十分だな」
明神は行動を開始した。羽の操作を的確にしながら、ひょっとこの仮面の男が手にしている透明な神器があると思われる場所に羽を留め続けた。
「……物体がある場合は具現化出来ずに、透明な状態が続くんだろ?」
「……透過系統な能力、異能の欠点を理解しているようだ。だか、一部の例外もある」
「ひょっとこの仮面の君はその例外には当てはまらないだろう」