第1015話 出会い
黒き仮面の男を倒し、原初の力の全てを得た舞は別空間から脱する事に成功した。
「……えっ?」
元の場所に戻った筈だが、舞はまるで地獄の様な場所に居た。舞は慌てて、玲奈の病室を探し病室を扉を開けようとする。
「……くっ」
扉は岩や、熱によって、変形しており、開ける事は出来なかった。玲奈の病室の確認と、扉が開かない事を把握した舞は次の行動へ移っていた。
「お兄ちゃん!」
舞のその叫びは虚しく辺りに響き渡っていた。
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病院内に侵入を果たした廉、紫音、勇治の三人は全身血まみれの明神明の姿があった。
「大丈夫ですか?」
廉は慌てて、明神の元へと駆け寄る。しかし、紫音、勇治の二人は全く心配すらしておらず、周囲の警戒をしていた。
「廉、明神さんなら大丈夫だよ」
紫音のその言葉に反応するように、明神は起き上がる。
「佐倉紫音の言う通りだ。僕の能力は勝者の翼見ての通り背から十枚の翼を生やす能力だ。この十枚の翼がある限り、僕は死なない」
そう告げた明神の背に生えていた十枚の翼の内一枚の翼は背から落ち、無数の羽へと変化していた。
勝者の翼は明神が受けたダメージを翼が受ける事し、限界の来た翼は明神の元から離れ、羽の一枚一枚を操作出来るものである。一枚の翼で受けられるダメージ量は明神の一度の死を帳消しで出来る位である。現在、明神の翼が一枚、明神の背から離れ無数の羽となり浮遊している事から、明神は一度死亡した事が見てとれた。
「……えっと、大丈夫ってことで良いですか?」
「あぁ、大丈夫だ。木山廉、僕の能力による攻撃は今浮遊している羽を利用したものになる。翼の状態による攻撃は殆んどしないからね。だからこそ、敢えて一度死亡したんだ」
「十回死んでも平気な能力って強いと思ったけど、厄介で使い憎そうですね」
「確かにね。木山廉、佐倉紫音の二人はチーム[アブノーマル]だから分かるが、佐々木勇治は何故ここに?」
明神のその言葉に勇治は即答する。
「[レジスタンス]のメンバーとして」
「……それでは二人とも、チーム[アブノーマル]ではなく、[レジスタンス]として居るって事か」
「今度はこちらから質問をさせて貰います。明神明、何故ここに?」
「東京本部の副局長であり、チーム[雷帝軍]のリーダーである橘強絶の指示によって、同級生ではありますが、上司でもある。命令には従わないと」
「……」
「何か、思うことでもありますか?」
「いえ、ありません。それで、貴方と戦闘していたのはどちらに居るのですか?」