第1014話 芽以と舞
「……この程度か?」
「紅桜:ソメイヨシノ式一ノ型桜津波」
紅桜から一瞬にして、大量の桜の花びらを出現させ、桜の花びらで津波を黒き仮面の男の至近距離で放つ。
黒き仮面の男の男は桜の花びらの量から防ぐ事を諦め、黒いオーラを自身の体に覆わせると、別空間から一度離脱する。
(……逃げられたわね)
「芽以さん。私は」
(集中しなさい!)
「はい」
(紅桜:ソメイヨシノ式は威力は通常の紅桜よりもあるけども大したものではない。ソメイヨシノ式は桜の花びらの量を極端に底あげした覚醒よ。紅桜の本来の力である原初の力を最大限に引き出せるのよ。そして、ソメイヨシノの型は三ノ型までしか造れていないわ。これからは貴女が造っていくのよ)
「分かりました」
舞の眼前に黒いオーラが出現し、そこから黒き仮面が現れる。舞は直ぐ様、反応し紅桜を上空へ向け、振るう。
「紅桜:ソメイヨシノ式二ノ型桜雪崩」
大量の桜の花びらが頭上から降ってくるこの状況で、黒き仮面の男は逃げること無く、舞に近づく為、走って接近していた。
「紅桜:ソメイヨシノ式三ノ型桜隆起」
舞は紅桜を地面へと突き刺し、大量の桜の花びらを地面から発生させる。
(……上手いタイミングよ。舞、貴女も分かっているでしょう?貴女のあの技で行けるわ)
「はい!」
舞は紅桜を構えると、一瞬にしてそれを振るい紅桜から大量の桜の花びらを黒き仮面の男へ向けて放つ。
「紅桜:ソメイヨシノ式四ノ型桜吹雪」
黒き仮面の男の上下から遅いかかる大量の桜の花びらよりも早く、桜吹雪の大量の桜の花びらが黒き仮面の男の体を捉え、遥か後方まで吹き飛ばしていた。
「ここで畳み掛ける。紅桜:ソメイヨシノ式一ノ型桜津波」
舞が振るった紅桜から津波の様に大量の桜の花びらが倒れ込んだ黒き仮面の男へと襲いかかる。上空からは桜雪崩、地面からは桜隆起、前方からは桜津波の大量の桜の花びらが動けなくなった黒き仮面の男へと襲いかかる。
(見事よ。舞、おめでとう春さんも認めてくれるそうよ)
「……あの春さんが?」
その瞬間、舞は無理矢理自身の精神世界に連れて来られていた。
「随分と失礼な事を」
「すみません。春さん」
「……同じ川上家の人間として、認めるわ。私が導き出した原初の力も愛の原初の力も貴女は使えるわ」
「……後は私自身の原初の力を」
「出来るだけ急いでね。そうすれば、私達残留思念は消える事が出来る。貴女が持ち主の限りだけどね」
「それって、次の適正者の時には」
「私達と私が残留思念が宿っているわ。因みに紅桜を奪って適合した場合は原初の力も神器との対話も出来ない。出きるのは、体に宿した場合だけよ」