第1011話ジーク、氷(ひょう)
魂の吸収を行って居たジークは辺りの魂の回収を終えると、
あることに気がつく。
「突然、現れたな」
ジークは魂感知により、突如現れた存在に気がつき、氷は目視で気がついた。真っ白で何も書かれていない仮面を付けた男の存在を。そんな男を目にした氷は躊躇いも無く、自身の異能である暴滅氷神竜を発動させ、右手から氷で造られた竜を白い仮面の男へと放つ。
暴滅氷神竜は氷の体中から氷竜を出現させ、その氷竜に触れたものを切断し、氷で切断箇所を繋ぎ止めると言う変わった異能である。
そんな氷竜は真っ直ぐ白い仮面の男の首に直撃すると、首を切断し、氷竜の通った後は凍りつき、切断された顔と首は氷で繋ぎ止められていた。
「……僕の出番は無さそうだな」
ジークは氷の異能を見て、戦いに加わる意味が無いとして、ジークが魂を切断する聖剣を魔法陣に入れようとした時だった。
白い仮面の男の切断された筈の首が氷が無くなり、切断された事実させ、無くなっていた。
「なんだ、それ」
「愚かな者よ」
白い仮面の男は両手をつきだすと、両手から白いオーラを放出させる。そんな白い仮面の男の攻撃に合わせ、ジークはその白いオーラを防ぐ様にして、魔法陣による防御結界を造り出す。これにより、魔法陣と接触した時に白いオーラの特性を見抜く事と、防御の両方を得られる一石二鳥な行動だった。
「愚かな事よ」
白いオーラに接触した魔法陣は直ぐ様消え去った。
その白いオーラの特性を目の当たりにしたジークは魔法陣による転移魔法によって、自身と氷の二人を白いオーラに接触しないであろう、白い仮面の男の背後に移動させる。そして、この時にジークはあることに気がつく。
「……どうやら、病院の外に居るのは僕達の二人と、あの白い仮面の男だけの様だ」
「あ?俺が出遅れているだと」
「競いあっている訳ではない。分かっていると思うが、あの白い仮面の男を倒すまでは、病院内に入れない」
「……分かってる。あの白い仮面の男は俺がやる」
「駄目だ。僕も居る以上、二人で確実に仕留める」
「はぁ、連携を取っても良いが、足を引っ張るなよ」
「……善処しよう」
氷は全身から大量の氷竜を体中から出現させると、その氷竜を全て白い仮面の男へと放つ。ジークはそれに合わせて、魂を切断する聖剣を振るい、その剣圧に当てられた白い仮面の男の体から魂が抜けかけようとしていた。動きが鈍った白い仮面の男に無数の氷竜が接触し、白い仮面の男のあらゆる箇所が切断され、切断箇所は氷で繋ぎ止められていた。