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「勘違いですれ違った恋」番外編  作者: 柏木紗月
新婚生活スタート
52/62

友達を家にご招待


「由紀です」

「千恵です」

「愛子でーす!!」

「初めまして。えっと、なんて呼んだら良い?」

「名字で呼んでください。くぼ……じゃなかった、島田由紀」

「ほら、女性は結婚して名字変わるんだから名前が良いですよー愛ちゃんって呼んでください」

「愛ちゃん駄目!!絶対だめー!!」


 1月のある土曜日、ついに由紀たちを隼人さんに紹介することになった。隼人さんがせっかくだからうちに来てもらえばと言うから場所は家。


「椿のケチー名前くらい良いじゃん」

「さん付けで良いんじゃないの?ね?」


 隼人さんは親しい女の子を呼び捨てで呼んでいて優菜さんや彩華さん、佳代子さんたちはさん付けで呼んでる。ちゃん付けだとなんだか可愛がってる子みたい。とにかく特別な感じで駄目。


「じゃあさん付けにするね。愛さん」

「イケメンに名前呼ばれた……なんかドキドキする」

「愛ちゃーん!!駄目だってば!!歯科医師の人と合コンしたんでしょ!!」

「椿落ち着きなよ。どうもしないから」

「千恵はそう言いながらメモはどういうつもりよ」

「イケメンに質問」

「質問は1人1回だってば!!」

「1回とか無理に決まってるよ」

「もー!!隼人さんが困るから駄目!!」

「椿、困らないから大丈夫」


 そう言って隣に座る隼人さんが優しく頭を撫でてくれる。嬉しいと思っていると正面に座る由紀と目があう。まずいと思っているとその隣にいる千恵ににやりとされる。誕生日席になった愛ちゃんも千恵と同じ顔をする。


「どんな男にも靡かないって言われてた椿が……」

「ミスターのグランプリに言い寄られてもどこ吹く風だった椿が……」

「千恵、愛子、茶化さないの」

「ミスター……」

「はいはーい!!旦那さんに質問タイム!!」

「し、質問は1人ずつだからね!!」

「趣味は!!」


 千恵と愛ちゃんの質問攻撃が始まってしまった。変な質問しないか隼人さんの顔色を伺いながらヒヤヒヤしてしまう。


「バスケかな」

「バスケ!!ポジションは!!」

「シューティングガード」

「愛ちゃんバスケわかるの?」

「なんとなく!!」

「今もやってますか?」

「今は子供たちに教えてるだけで自分ではやってないよ」

「子供好きですか?」

「うん」

「優しく指導?厳しく指導?」

「厳しい方かな」

「普段は穏やかな性格?」

「んー人によるかな」

「穏やかじゃないのはどんな時?」

「親と幼馴染みと従妹が煩い時」

「仲が悪いですか?」

「従妹とはね」

「その従妹はずばり勘違いの?」

「そうだよ。馬鹿な若菜」

「旦那さんは口が悪い?」

「人によるかな」

「自分を一言で言うと?」

「んー」

「じゃあ人になんて言われることが多いですか?」

「性格が悪い口が悪い」

「椿の好きなところは?」

「可愛い、綺麗、目、髪の毛、強い、優しい、ほくろ……全部」

「もーストップストップ!!質問も雑だし意味わからないし!!隼人さんも真面目に答えなくて良いの」

「普通の質問だったのに」

「そうだそうだー!!」

「まだこんなに聞くことがあるのに」

「そうだそうだー!!」


 千恵がメモをパシパシ叩いて愛ちゃんがおかしな合いの手を入れる。


「まあ旦那さんも聞きたいことがあるらしいしその辺にしておいたら?」

「仕方ないな」

「まー今ので十分旦那さんがどんな人かわかったよー」

「その旦那さんってずっと?」

「椿が名前で呼んじゃ駄目って煩いんです」

「隼人さん隼人さんって呼んじゃ駄目って」

「旦那さんの聞きたいことは何ですか?」

「椿の大学生活、主に男関係」

「は、隼人さん?」


 男の人関係の話ってなんだろう。


「だと思いましたー」

「ミスターのグランプリって?」

「ミスターコンテストのグランプリに告白されたのは大学2年の時だったよね」

「そうそう、1つ上の先輩だったね、秋葉さん」

「可愛い系肉食男子」

「可愛い顔してたよね」

「椿年上からモテてました。同級生でも年上だよね」

「え、安田くんって年上だったっけ?」

「1つ上だったはずだよ」

「安田面白かった」

「入学してすぐ椿が安田くんに誘われたのにみんなで親睦を深めるって勘違いして私たちに安田くんが遊園地行こうって言ってたよーって」

「安田くん呆然としてたよね」

「そ、そうだったっけ?でも仲良くなりたいからって言ってたから……」

「仲良くなりたいのは椿だけ」

「結局4、4で遊園地行ったよね」

「その1ヶ月後に安田くんあっさりフラれてた」

「そういえば安田くんが1人めだね」

「そうだね。それから学部の先輩やらまったく関係ない先輩やら」

「椿ちゃんと振ってた?」

「はっきり好きとか付き合ってほしいって言われたらごめんなさいって断ってたよね」

「遠回しに言われたら言われたで普通に答えて撃沈させてたけど」

「話したいことがあるって言って2人でデートするのには成功したけど当日椿が悩んでることはなんですかって話って悩み相談だと勘違いしてサークルの人間関係とか講義のこととか話を聞いただけで帰ったり」

「あとで椿にこういうことなんだって教えたら難しいって言ってたよね」

「あとは何度も学校帰りに誘ってはバイトがあるから無理って断られた人もいた」

「本当にバイトだったからね。椿平日はほとんどバイトだったし」

「そんなに忙しかったの?」

「この日入れるって聞かれたら断れなくてつい。人も少なかったから」

「でもコンビニに来るいろんな人を観察するの好きだったよね」

「うん、面白かったよー。忙しかったけど楽しかったの」

「そっか」


 隼人さんはそう言って嬉しそうに笑ってくれた。昴くんに隼人さんは私が一人暮らしで苦労してるんじゃないかって心配してたって聞いたことがあったから面白かった、楽しかったって言って安心してくれたのかな。


「椿に惚れるのは秋葉さん以外おとなしい系が多かったよね」

「その秋葉っていうのはどうしてたの?」

「あの人は遊び人でしたから。さすがの椿も本気じゃないなって思ってたよね」

「秋葉さんは相手にしちゃ駄目ってみんなに言われたから」

「まあ、1週間で飽きて別の子のとこ行ったんで大丈夫です」

「そう……それなら良いけど」

「年上っていうのがあれだよね。椿しっかりしてて頭も良いけど抜けてるとこがあるから庇護欲を掻き立てられるんだよ」

「あ、愛ちゃんそんなことないよ」

「でも旦那さんもそうですよね」

「守ってあげたいって思うけど守られてるだけじゃなくて強いんだよ。俺が椿に助けられてる」

「なるほどー」

「守られてるだけの女じゃ駄目ってこと」

「え、千恵なんで私見るのー?」

「愛子は守られてる女演じてる女」

「ひどーい!!」

「まあまあ、愛子は以外とウブだから。金金言ってるけど」

「あ、えっと、守ってあげたいって人はいるから大丈夫だよ。椿は俺にとってそうっていうだけだから」

「ほれ見ろー。旦那さんは優しい。同僚に良い人いませんか?」

「愛ちゃーん!!やっぱり聞いた!!駄目って言ったでしょ!!」

「だってシラン商事だよ?」

「歯科医師どうするのよ」

「なんだかあんまりだったからー」

「俺がいる部署には良さそうな人はいないけど他のとこにはいるかも。お金持ち」

「あと優しくて穏やかな人が良いよ、愛子には」

「わかった、すぐには難しいかもしれないけど探してみるね」

「旦那さん優しー。良い人」

「もう……隼人さんごめんね」

「良いよ良いよ。見つかるかわからないけど」

「でも旦那さんイケメンで優しくて良い人でかっこいいねー」

「愛子イケメンとかっこいいって一緒……。でも本当、椿の情報抽象的でわかるようでわからなかったんですよ……。イケメンのクォーターで優しくてキラキラーってしてて」

「あとエッチ、可愛い、ドキドキする、ヘニャーンってなるとか」

「千恵ー!!そんなこと言わなくて良いの!!」

「とにかくめっちゃ好きなんだってことはわかるって思うけどねー」

「ヘニャーンってしてた」

「私も頭撫でてほしいー早く彼氏欲しい」

「そ、そんなにヘニャーンってしてた?」

「してたしてた」

「幸せそうでとろけた顔してた」

「うう……幸せだけど」


 そうしてそのあと惚け話をしたり千恵には良い人はいないのかという話をしたり1時間くらいしてみんな帰った。


「隼人さんみんな騒がしくてごめんね」

「矢継ぎ早の質問は大変だったけど楽しかったよ」

「ほんと?楽しかったなら嬉しいけど……」

「うん、良い子たちだね」

「良い子たちなんだよー」

「椿俺のことエッチって言ってるんだ」

「え!?そ、そこ!?」

「男はちゃんと振ってたみたいだし安心したから椿が友達に俺のことをどう話してるのかが気になって」

「ふ、普通のことしか言ってないよ」

「エッチだって?」

「だ、だってどういうものかわからないんだもん。朝起きれないくらいするものなのかとか色々……」

「そっかー」

「で、でもそんなに詳しく言ってるわけじゃないよ」

「ん、可愛いなー」

「なんで!?」


 隼人さんは頭の回転が早くて頭の中でいろいろ思って最終的に言葉に出してるみたいなところがある。私とは違って一瞬で考えを巡らせちゃうみたい。

 だからなぜここでキスをされるのかわからないけど私が考えを巡らす暇もなく──。

 こうして休みの日はのんびりまったり過ごしている。1月の中旬になり、今度は隼人さんの大学時代の友達に会うことになった。


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