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「勘違いですれ違った恋」番外編  作者: 柏木紗月
新婚生活スタート
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両家の顔合わせ


 日曜日は11時に隼人さんの家にみんな集まるということで、私は隼人さん、若菜、昴くんと9時半に隼人さんの家に行ってお母さんから連絡をもらった私は駅までお母さんとお父さんを迎えに来た。予定通り。予定通りなんだけど……。


「あ、見てみてここのおうちのお庭おしゃれだね」

「本当ね、綺麗だわ。あ、ちょっと椿まだ時間はあるんだから見ていきましょうよ」

「そう言ってさっきから立ち止まってるから時間ないよ!!」


 お母さんとお父さんを甘く見ていた。実家を出てからたまにだけ帰っていたけどフリーダムさを侮っていた。駅から20分で着くんだから1時間前に駅に来てもらえれば十分間に合うだろうと思っていたのにあと10分で11時になってしまう。若菜と昴くんの家を出る時の隼人さんを思い出す。朝の支度をしてる時に私がそういえばアルはどこにいるのって言い始めてアルは先週暴れた若菜によって腕をもぎ取られてしまったから急遽旅行中だと教えてもらった。その流れで隼人さんにアルの本名を教えてもらったのに若菜に聞いたんだと思い込んでいて去年若菜と昴くんと3人で遊んだ時若菜の家にあるぬいぐるみのアルの本名をアルバート・ジョン・ブラウンだよねと言ったのを思い出して言った。昴くんにアルベルト・ジョン・グレイだって訂正されて昴くんが若菜にでたらめを教えないでって言っていたけど隼人さんの話を出さないために話を合わせてくれて2人に気を使わせてごめんねって謝った。それでそのままアルの話をしていたら痺れを切らした隼人さんが私のお喋り遮りたくないけど無駄な飾りつけが絶対されてるからそれなくさないといけなくて早く家に行かないといけないんだよって若菜と昴くんには頭を叩いていたけど私には優しく急かしてくれた。


「あらあら佐々木さんのお宅?この道まっすぐ行ったら5分もかからないでつくわよ」

「そうなんですねーありがとうございますー」


 なんだか気付いたらお母さんがお庭に水を撒いてたおうちの人に近道聞いてた。


「椿ーもたもたしてると置いてくわよー」

「もー!!見ていくって言ったんじゃん!!」


 もう満足したらしいお父さんとお母さんが歩いていってしまうから慌てて追いかける。


「楽しみだなー隼人くんのお父さん綺麗なんだろうなー」

「若菜ちゃんのお母さんも綺麗なんでしょー楽しみねー」

「お母さんもお父さんも何しに行くの……」

「ご挨拶でしょ。椿は面倒な子ですがどうぞよろしくお願いします」

「面倒な娘ですが記念に写真を撮りましょうってね」

「なにそれ!!お父さんが面倒!!あっちにふらふらこっちにふらふら!!それにそんな高いカメラ持ってきて!!」

「芸術的に綺麗な写真を撮りたいなー」

「変な家だと思われるから止めて!!」

「あ、椿ここじゃない?もう、しっかりしなさいよ」

「もー!!2人のせいでしょ!!」


 話してる間に隼人さんの家に着いた。疲れた……。

 押しますよーっとインターホンを押すお父さん。どうかみんなの前で変なことしたり言いませんように。

 玄関の扉が開くとこっちも予定通り、隼人さんが出てきてくれた。お義母さんが困ると言ってたけど私はこっちで困ったよ。隼人さんの顔を見て安心する。


「こんにちはお義父さんお義母さん。こちらまで来ていただいてしまってすみません」

「いえいえー隼人くんは今日も綺麗なって……椿なにー?」


 扉からお義母さんが見えて慌ててお義父さんの腕を引っ張る。


「いらっしゃーい!!隼人の母の美香です」

「初めまして。父親の琉依です。どうぞ中へ」


 静かに息をはいてる隼人さん。


「初めまして。要です」

「涼子です」


 首をかしげる隼人さん。わかるよ。家にあがってリビングに行くとみんなそれぞれ立っていたり座っていたり。私が家を出る前は飾りつけがどうとかご飯の盛り付けがどうとか座って勢揃いして待ってた方が良いのかずらっと立って待ってたら良いのかってみんなそわそわしてたけどなんだかみんな自然な感じで待ってたみたい。

 こんにちはーと言いながらみんないそいそと席に座る。私の右隣がお母さん、その隣がお父さん。

 お義父さんが1人立ち上がる。


「本日はお越しいただきありがとうございます。本来であれば入籍前に両家顔合わせをすべきところ遅くなってしまいすみませんでした。どこかレストランでとも考えましたがうちは世間から見たら少し風変わりな家族なので息子が育った環境を自然な形で見ていただきたくてこのようにさせていただきました。なのであまり固くならず型にはまらずリラックスして両家の親睦を深められたらと思います。よろしくお願いします」

「あ、それでは型にはまらず私と妻からご挨拶させていただいてもよろしいですか?」


 ほっとする。お父さんとお母さんの得意技だ。人前ではまともな人に変化する術。とっても綺麗な隼人さんやお義父さんや優菜さんがいるからできないってなったらどうしようかと思ったけど大丈夫そうだ。お父さんが興奮して今にもお義父さんに飛びかかりたい衝動を我慢してるのがわかるけど。お義父さんが座って今度はお父さんとお母さんが立つ。


「椿の父の要と妻の涼子です」

「涼子と申します」

「入籍の方が先になってしまったことはこちらは気にしていません。隼人くんとは事前にお話しする機会もありましたし、とても素晴らしい人と良縁に恵まれたことを嬉しく思います。娘はしっかりしてるようで抜けていて騒いだりして皆さんにご迷惑をおかけすることが多々あるかと思いますがよろしくお願いします」

「このようにたくさんの家族に見守られて娘は幸せ者です。夜中に騒いだりご迷惑をおかけしておりますが今後ともよろしくお願いします」


 まともを装って私にチクリと苦言を呈してきた。酷い。正面に座る隼人さんと私の隣に座る若菜がポカンとしてる。そりゃ普段と違うもんね。


「では乾杯をしてから家族を紹介していきますね」


 乾杯をしてまずは若菜の家族を紹介することになった。


「まずは隼人の叔母にあたります優菜です」


 お父さんがピクッとした。もう限界かもしれない。


「優菜です」

「メモー!!メモメモ!!メモは良い!?」

「限界だったー……」

「椿メモ帳返して早く早く!!」

「すみませんみなさん……まともな人になるの限界でした」


 私はそう言って回収していたペンが刺さったメモ帳をお父さんに返しながらみんなに謝る。


「聞いてた話と違うと思ったよ」


 お義父さんがそう言って笑うとみんながどっと笑う。


「まともにしててとは言われたんですけど逆に堅苦しくなっちゃいましたね。お話しする優菜さんが美しすぎて我慢の限界でした」

「これ、こっちも戻って良いの?どっちなの?パパ」

「隼人、良いの?」

「良いのかな……椿、良いの?」

「うん、一応挨拶はできたし」

「両家の顔合わせみたいだったー!!」

「みたいじゃなくて両家の顔合わせよ。でもこれはこれで緊張感あって面白かったわ。ねー、うちの時もこれしよ」

「するの……これ」


 お父さんはよくわからないけどなにかにビビッとくると飛びかかるだけじゃなくてなにかインスピレーションが浮かぶとメモを取る習性がある。見せてもらったことはあるけどなにが書いてあるのかはわからなかった。


「とりあえずこれで続けますね」

「写真はいつ撮って良いですか!!」

「お父さん変なこと言わないでってばー!!」

「えっと、いつでも撮って良いですよ」


 やったーと喜ぶお父さんにさすがのお義父さんも圧倒されてるみたい。お父さんの方が年上なのにこの差はなんだろう。


「じゃあ「あーこれたくさーん食べてみてー!!」」


 お義母さんももう通常運転だ。私が来た時のことをこの前メッセージで教えてくれた。


『椿ちゃんが心配で普段より押さえぎみでいたのよーあと隼人に私の話は聞いてくれないのに語尾は伸ばすなとかへなへなするなとか無理だと思うけど努力はしろっていっぱい言われてよくわかんないってなってたんだけど琉依さんがわかりやすくこうしたら椿ちゃんもお義母さんすごいなってなるよって教えてくれてねー』


 どうやら私が知らない間に隼人さんお義母さんにたくさん要望をしていたみたい。

 今のお義母さんは水を得た魚のようにこれ食べてと大皿に盛られたおかずをよそってお母さんとお父さんに渡す。


「わー溢れそー」

「ありがとう美香さん」

「美香ー自己紹介が進まないのよ」

「はーい」

「コホン……優菜です。若菜の母です。若菜もご面倒をおかけてしていてすみません」

「ここで繕わなくても良いのに……」


 すごく綺麗な笑みを浮かべて話す優菜さんに隼人さんが呟く。お父さんは2人を見ながらメモしてる。


「あー……もう司会良いの?」

「うん、一応ね」

「優菜の夫の浩一です。公務員をしてます。よろしくお願いします」

「私はー!?」

「なんで若菜も自己紹介するんだよ」

「私は若菜ー!!隼人より椿のことが大好きだよ!!」

「若菜ちゃんも初めましてだね。いつも椿と仲良くしてくれてありがとう」

「椿パパの話椿ママとするよー」

「ね、可愛いでしょ」

「うん、若菜ちゃんは可愛いね」

「椿パパも良い人!!でねー昴だよ!!」

「これで僕?あ、えっと、結城昴です。隼人くんの幼馴染みです」

「ノー!!私の彼氏!!」

「これで私たちで良いのかしら?」

「昴の父の一輝です」

「昴の母「あ、お母さん待って」……どうしたのよ」

「僕も妻のってやりたーい」

「もう……」

「妻の彩華です」

「彩華です。よろしくお願いします」

「あら?彩華さん……?」

「え?」


 どうしたんだろう。お母さんが首をかしげて考える。そしてなにかの名前を言う。


「そこにお勤め?それか働いてたことある?」

「ええ、職場です……あ、もしかして河村さん?」

「そうそう!!河村涼子!!結婚しても旧姓のまま仕事してそのまま辞めたのよ」



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