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「勘違いですれ違った恋」番外編  作者: 柏木紗月
新婚生活スタート
39/62

楽しい週末


「本当にいらない?」

「いらないよ」

「んー……でもなにか買っていこうよ」

「誰もなにも気にしないよ」

「んー」


 今日は村岡さんのお店でみんなに初めて会う日で新幹線に乗って行く。今は駅のホームで一緒に行くことになった竜二さんを待ってる。

 みんなになにかお土産を買おうよと言う私に隼人さんは昨日からずっと首を横に振るばかり。どうしよう、本当に大丈夫かなと思っていると竜二さんが来た。挨拶してから私は言う。


「新幹線予約してもらってすみませんでした」

「一緒に行くんだから一緒にとった方が良いんだよ。気にしないで」

「でも良い車両……」

「竜二さん飛行機でも新幹線でも普通のとこ乗らないんだよ。ラッキーだって思えば良いって言ったでしょ」

「うん、でも……」


 竜二さんは帰りは別々で一緒じゃないのに帰りの分も良い席を取ってくれた。隼人さんが翔太くんに勉強を教えに行くから何度かお宅にお邪魔してるけど竜二さんとは最初に会ったきりでチケットは佳代子さんから受け取っていた。


「なに喧嘩してたの?」

「喧嘩じゃないですよ。椿がみんなにお土産を買おうって言うからいらないって」

「ああ、そういうこと。椿ちゃん、隼人くんは俺たちからのお返しが怖いんだよ」

「お返しが怖い?」

「ただのサブレが高級なものに変わったとか。わらしべ長者みたいだって」

「……ああ、お返しに高いものをもらったから嫌なの?」

「嫌っていうかもて余しちゃうでしょ」

「確かにそれは恐縮しちゃうね」

「お土産なんて気にしなくて良いよ。みんな椿ちゃんに会いたいって集まるんだから。それにお土産なくてもみんな用意してるよ。はい、まずは俺から防犯ブザー」

「はい?なんですか?」

「ありがとうございます。はい、椿」

「え、なに?」


 竜二さんから隼人さんに手渡されたその防犯ブザーが隼人さんから私に手渡される。チョコレートケーキの形になっているそれを観察してみる。


「でもなんで防犯ブザー?」

「間宮さんの俺対策の防犯ブザーは存在感がなくて役に立たなかったでしょ。これならキーホルダーみたいで鞄に下げておけるから鞄の中に入れないであるの忘れないですむよ」


 隼人さんの言葉に間宮さんからもらった防犯ブザーを思い出す。そうだ、会社に行く時の鞄にしまっていたのに荒木さんの時すっかり忘れてた。ということを今思い出すぐらい忘れてた。ちなみに隼人さんのハンカチは私がもらった。すっかり私の物だ。


「間宮さんに高性能の役立つ防犯ブザーを買い直すように言おうかとも思ったけどそれなら俺の言う通りのものを作って椿に持たせた方が良いと思って大分前に竜二さんに頼んでたんだ」

「え、作った?」

「知り合いにいるんだけどそんなあり得ない頼みはしてないよ。音量大きくとか耐久性に優れてるとか普通のこと」

「椿、これを2つ渡すから仕事に行く時用の鞄とお出掛け用の鞄と両方につけて忘れないようにしてね」

「うん、ありがとう。竜二さんもありがとうございます。これなら急になにかあっても忘れないです」

「なにもないのが良いんだけど……」

「備えあれば憂いなしだよ。出番がないことが一番だけどあれば安心でしょ」

「椿が気が動転してても忘れませんように」

「だ、大丈夫だよ……忘れない忘れない」


 両手を合わせて唱える隼人さんに苦笑いしながら答える。こんなに心配してくれてわざわざ作ってくれたんだから忘れるはずないよ。とりあえず1つを今持ってる鞄につけて竜二さんに使い方を教わっていると新幹線が来た。

 ゴージャスな雰囲気の車両に驚きながら席に座る。


「今日は結局どこに泊まることになったの?」

「昴の家ですよ。仕方なく」

「仕方なくないよ。楽しみです」


 今日はディナーを食べながらみんなとお話しして若菜と昴くんの家に泊まらせてもらって明日両家の顔合わせという名の全員集合会をする。今から全部楽しみだ。それなのに隼人さんが私と昴くんを同じ家で寝させられないと言うから1LDKだから私たちはダイニングで寝ようよと言ったり、若菜が私と一緒に寝たいと言ったりそれならこっちに帰ってくれば良いのにってお義母さんが言って隼人さんが横から入ってこないでって言ったりお義父さんが集まるのうちなんだからうちに帰ってきなよと言ったりでどうなることかと思ったけど結局若菜と昴くんの家のダイニングに隼人さんと私が一緒に寝るということで話がついた。


「夜中に寝室から出られないようにするんです」

「そっか」

「絶対駄目だからね。昴くんだよ?昴くんだから良いでしょ」

「昴も男だよ。人畜無害は見た目だけって言ったでしょ」

「昴くんなんだからなにを心配するの。4人で一緒に寝る案でも良かったんだよ?」

「それは嫌ー」

「一晩寝るだけで大騒ぎだね」

「困っちゃいます。昴くんも最後面倒そうでした。あんまりウザいと外に締め出すからねって」

「ほら、昴は俺に冷たいでしょ」

「隼人さんがいろいろそれはやだ、これもやだって言うからでしょ」

「椿も冷たい」

「もう、いじけないで」


 昴くんの隼人さんのあしらいかたがすごいから私も見習わなくちゃと思ってる。今日は若菜と昴くんと一緒に住むかどうかの話し合い第2回目を開催するからそれもどうなるか今からドキドキする。隼人さんは前向きに考えてくれるみたいだけどまだ秘密と言って教えてくれない。どうにかちゃんと喧嘩にならずに話し合いができたら良いけど……。

 私たちは電車を降りたら村岡さんの家に行く予定だけど竜二さんとは一旦別れる。なんでも村岡さんが自分がいない時に家に行くなって言うそうだ。村岡さんも嫉妬してるのかな。沙織さんも美織ちゃんも大好きなんだな。


「竜二さん関さんの所に行くんですよね?」

「そうだよ。誰もいないから昼間から飲んでるって」

「なんでもう飲んじゃってるんですか……」

「椿ちゃんに会えるのが楽しみなのと久しぶりの休みだからハメはずしてるんだよ」


 翠さんたちは泊まりがけで出掛けてる。高級ホテルに泊まるんだそうだ。だから翔太くんと祥子ちゃんは友達の家でお泊まりしてるし関さんには萌香ちゃんという娘さんが1人いるけど萌香ちゃんも友達の家に遊びに行っててそのまま泊まるそう。


「最近疲れが溜まってるんだよ。俺もだ」

「翠さんと佳代子さんですね」

「あ……もしかして私のせいですか?ごめんなさい」


 佳代子さんたちとはわりと頻繁に連絡を取ってる。昔のことを教えてくれたりもして、思い返したらムカついてきたってよく言ってるからそれが原因かもしれない。


「大丈夫大丈夫。みんな慣れてるから」

「疲れたって言って好きに遊んでるんだから発散してるんだよ」

「そうだよ。自由にやってるから」

「それでまた怒られてるんだよ」

「あらら……そうなんですね」


 そうして話してるうちに竜二さんは佳代子さんのことや学生時代のこととかの話をしてくれて佳代子さんのことをかこって呼んでるのを聞いて私がニコニコしてたら隼人さんにムッとされたり翠さんと優菜さんの話を聞かせてくれて翠さんは女王、優菜さんは女帝って呼ばれてそれぞれの女子校で絶対的な存在だったらしい。翠さんから聞いたことがなかったけど竜二さんたちが呼んでただけみたい。他にもいろんな話を聞かせてくれてあっという間に降りる駅についた。


「じゃあ竜二さん、またあとで」

「関さんが椿に会う前に酔っぱらわないように気を付けてくださいね」

「わかってるよ。またあとでね」

 


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