表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
67/68

67話  「回りくどいっす。何が言いたいんすか?」

最近投稿の頻度が落ちてますごめんなさい。エタッてません!生きてます!

 






「勝ったっす」


「あ、やったんだ決闘」


 アキルクが助けた子供をギルマス室で世話していると、当事者のアキルクが帰ってきた。


「余裕っすね」


「……アキルク最近、満に似てきた?」


 そうか? そうとは思わないけど。


「ちょ、やめてくださいっす! それだけは!」


 瞬時にアキルクがあり得ないものを見たような表情をする。すっごい顔だな。


「そんな勢いで否定されたら流石に傷つくけど?」


 アキルクの中の俺の立ち位置なに?


「いや、すいません。ミツルさんの事は尊敬してるんすけど、似てるって言われたらなんか嫌っていうか……」


「傷ついた! 巴~、慰めて~」


 撫でて! 抱っこして!


「よしよし、満がどんなクズでも愛してるからねぇ」


 巴が抱きしめて頭を撫でてくれる。


「えへへ~、元気出た~」


 へへん、どうだアキルク。羨ましかろう。


「自分をいちゃつく為のダシにしないでくださいっす。ほら、その子も戸惑ってるっす」


 子供は命に別状はないようだ。しかし俺たちから目を逸らしている。


「オレも居るんだがなぁ!? お前らとうとう最後の猫かぶりも捨てたな!?」


 おっと、ここはギルマス室だった。あぁ~、巴の膝~。


「帰ったらね?」


「わかった!」


「お前も苦労してるな」


「もう慣れたっす」


「困ったことがあったらいつでも相談しろよ?」


 なんかアキルクが知らんところで沢山の信頼を築いている気がする。


「じゃ、本題に戻りますか! この子も冒険者なんですか?」


 とても冒険者試験に合格できるとは思えない。見た目で強さを測ったりはしないが、どの観点から見てもこの子は弱者だ。


「切り替え早いな……いや、冒険者ではない。冒険者の手伝いという名目で稼いでいるグレーゾーンだ」


「グレーゾーン?」


 なんか不穏な雰囲気を感じ取ったぞ。


「ああ。冒険者の手伝いをする事は規則では禁止されていない。戦闘に参加させたら駄目だがおつかい程度は言及されてないから黙認されている。

 ……それにな、その子達はスラムの子だ。これしか稼ぐ手は無いんだよ」


 はーいはいはい。スラムってまた面倒な。この子に後見人はいないのか。

 それに、普通の店ではスラム出身の子供など雇ってくれないのだろう。つまり本当に冒険者しかない。


「なるほどねぇ。今の仕事を奪うのも可哀想だけど容易に庇って問題になっても困るってことですか」


「そうだ」


 ギルマスさんが答える。


「そんな……」


 アキルクが絶句している。想像がつかなかったのだろう。


「あー、あと何があるかなぁ……うーん、文化にでもなっているのか? 冒険者の間でこういう事は当たり前のものだと刷り込まれてる、とか? けっこう当たり前なんだろこういうの」


 チッ、という舌打ちが聞こえてきたのは気のせいではない。忌々しそうにギルマスさんが言う。


「勘の鋭いこった。当たりだよ……お前らもあまりこの件に深入りするんじゃねぇ。あっちの方にはカタギとは違う人間もいる。最悪、戻れなくなんぞ」


「はーい」


 確かにそうだ。何も考えずに深入りするのは良くないだろう。だけど言うことを聞くつもりもない。


「とりあえず、今日は帰れ」
















 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
















「で、アキルクはどうしたいの?」


「え?」


 休憩のために食堂に入った。もちろん子供なども一緒だ。これで落ち着いて話ができる。それにしてもおとなしい子だ。腕を軽く引けばなんの抵抗もなくついてくる。


「なにたべる」


 巴が子供に聞く。メニューを差し出した。


「…………」


「どうしたの」


「あの、文字が……」


「読めないの」


「ごめんなさい」


 本当に申し訳なさそうに、子供が身体をすぼめた。


「大丈夫っすよ。勉強すればいいんすから」


「ありがとう、ございます」


「じゃー、どうしよっか? おすすめでいいー?」


「なんでも、大丈夫です……」


「そっか。はーい、注文しまーす」


 じゃあ俺、牛と豚と鳥。朝ごはん控えめだったからお腹空いちゃった☆












 料理が来た。子供の相手は巴に任せて……任せられるよな?…………目の端で追っとこう。信じていない訳じゃないがたまにやらかすからな。


「で、さっきの続きだけどアキルクはどうしたいの?」


「どういう事っすか?」


「アキルクはあの子を助けた訳だ。そして現在のあの子の境遇に憐れみを感じてるんだろ?」


「……あたりっす」


 少し考えればそれくらい分かる。アキルクのような人間なら特にそう思うだろう。


「あの子にとってアキルクは唯一の救いの手だ。あの子はこれから虐げられる度にお前を思い出しそして期待するだろう。アキルクが思うより、あの行為はあの子にとって意味深いものだよ」


「回りくどいっす。何が言いたいんすか?」


 アキルクがムッと俺を見る。おっと、意地悪してしまったようだ。


「めんごめんご。つまりさ、あの子の面倒これから先も見れる? それとも今回限りにする?」


 聞きたいのはそういう事だ。俺はどっちでもいいと思う。ほんとに。アキルクがしたいようにすればいい。


「当たり前じゃないっすか! なんだー、びっくりしたっす。見捨てろとか言われるんじゃないかヒヤヒヤしたっす」


 帰ってきたのは明るい返事だった。え? いつ決意固めてたの?


「お、おう……てかそんな酷いやつだと思ってたの?」


 そっちのほうが酷いわ。


「ミツルさんならありえるかと思ったっす」


 風評被害甚だしい。


「風評被害甚だしい」


「子供を助けるのは当たり前っす。それも自分から助けたんすから」


 そっか、お前はそういう奴だったな。


「まー、難しいことは後にして、ご飯食べようぜ」


 お腹すいた。みんなもそうだろ?
















評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
[良い点] はじめまして♪ とても面白いですね♪ 相思相愛なのがとてもいいです♪ [気になる点] 更新待ってますけど遅すぎじゃないですか? 私のように更新待ってる人がいることを忘れないでください …
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ