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死神の右眼  作者: U
第1章
8/21

初めて救えた人

自分でも信じられない程の跳躍力で、俺は跳んだ。いや、飛んだ。

そのままの勢いで委員長を抱える。

間一髪軽自動車を躱し、道路脇の茂みに突っ込んだ。

幸い、茂みがクッションの役割を果たし、軽い擦り傷以外怪我はなかった。

「…いてて、無事か?委員長。」

「紅木くん…」

いまだ何が起こったかを飲み込めていないのだろう。

俺が背になるように飛んだため、先に起き上がった委員長が俺に手を差し伸べる。

「全く、ひったくりなんてふざけた事する奴、まだいるんだな。」

忌々しげにそうこぼしつつ、委員長の手を借りて立ち上がる。

「…ありがとう、紅木くん。」

「礼なんていいって」と返しつつ服に付いた葉を払っていると

「警察には電話しといた、もう直ぐ来ると思う。」

流石はヤマ、すべき事をちゃんと分かってるいい奴だ。

「ああ、ありがとうヤマ。」


到着した警察に事情を説明すると、今日のところはもう帰っていいとの事だった。


「紅木くん、今日は…ありがとね。」

去り際、委員長は二回目の礼を残した。


俺が、初めて救えた人。


この眼で…初めて救えた人。


今俺が抱いている感情は…なんだろう…。


警察によって、ひったくりは程なくして確保された。

委員長の元にバックも戻ってきたらしい。

「お前…すげぇ奴だな。予知能力でもあんのか?」

「ねぇよ。」

ヤマが真剣な顔でそう聞くので、咄嗟に嘘をつく。

「だって、自転車が俺らを追い越すより前にもう走り出してたろ。なんで分かったんだよ。」

「…なんていうか、直感?」

ほえ〜、と咄嗟のデマカセで納得してくれたらしい。デマカセと言っても、直感というのはあながち間違いでもないが。

「…で、どうなのさ。」

「ん?」

「委員長だよ、お前、どう思ってー」

ヤマの頭に俺は無言で手刀を落とした。





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