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死神の右眼  作者: U
第1章
6/21

Lobelia-ロヴェリア

銃口から漂う煙を、黒守さんはフッと吹いた後、深〜い溜息を吐きながら深〜く椅子に腰掛けた。

あまりの衝撃に言葉が出ない。

殺そうとしたのか?俺を?

「許してくれ、決して君を殺そうとしたわけじゃない。試さなければならなかった。」

「….試す?。」

「完全な不意打ち、相手を見てからの反射じゃまずかわせない。」

そこまで言われて気づく。

「つまり…君にみえる未来は、少なくとも変えられる可能性のある未来なわけだ。」

やったじゃないかと言わんばかりの笑顔だ。

しかしこちらとしては素直に喜ぶ事ができる状況ではない。

だってもし視えてなかったら…しんでたじゃないか。

「Lobelia-ロヴェリア、君の妹を撥ね飛ばした組織の名だよ。」

唐突に告げられた言葉に、理解が追いつかない。

「…組織?」

「君の妹を撥ねた二人組はロヴェリアという組織の人間だ。裏の世界ではその名を知らない者はいないだろう。」

「…何故あの二人組が、そのロヴェリアとか言う組織の仲間だと分かるんですか?」

「内通者がいるんでね。調べてみたのさ。」

ドヤ顔でそう言い放たれる。裏の世界ではその名を知らない者はいない組織、そんな組織に内通者がいて、当然のように情報を得る事ができる…。

「あなたは…何者なんですか?」

「…ただの占い師だよ。」

占い師のくせに胡散臭さが無いところがこの人の特徴だ。

それでだ、と黒守さんが持っていたティーカップを置く。

「敵は大きい。普通の中坊を殺すのなんて、ハエを払うより簡単だろうね。ちょっと手を出しただけで謎の死を遂げるのがオチさ。」

「…」

「戦うには何かしらの起爆剤が無いと話にならない。だから、君が死を予知し回避できるかどうか試したんだ。それくらいできないと懐に入る事すら出来ないだろうからね。」

復讐を成し遂げられないのなら死んだほうがマシ、そう言った俺はここで死んでも文句は言えないというわけだ。

「あなたは…その組織の事をどこまで知ってるんですか?」

「さぁね。でも、君が望むなら出来る限りの協力をするよ。僕もあの組織には…少し因縁があってね。」

何か思い返したのか、黒守さんが顔をしかめる。因縁については詮索するべきでは無いだろう。

「何あったらここに掛けたまえ。」

黒守さんがシュッとカードを投げる。

何とかキャッチしてみると、死神利用権と書かれたカードに電話番号が記載されていた。

「死神…利用権?」

「僕に調べごとを頼めるカードだ。オークションに出せばそれなりの値段が付く代物だが…君ならうまく使えるはずさ。」

外にはすでに巣に帰るカラスの群れが飛んでいた。

「今日はもう遅い。気をつけて帰りたまえ」

そう言われ俺は黒守邸を後にした。


〜同日夜、黒守邸〜


月夜の下、黒守は一人、写真立てに立てかけられた写真を眺めていた。写真には、黒髪の少年とその両親と思われる男女が写っていた。

「…」

どこか悲しげな表情で、黒守が写真に手をふれる。

「時は…満ちた。」

黒守は夜空を見上げ、そう呟いた。

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