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異世界人は話が通じない  作者: 肉といえば鶏肉
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5話 初めての冒険

 冒険者ギルドは看板に六芒星ヘキサグラムが書いてあると、酒場情報で知っていたのですぐに見つかった。

 しかしこのマークは厨二心をくすぐられてやばい。

 厨二病患者なら誰でも知ってるんじゃないかってぐらい有名なこのマーク。

 三角形二個を逆さにして重ねただけの簡単なマークに、こんなにも胸をときめかされてしまう。

 くやしい……! でも……ワクワクしちゃう! ビクンビクン

 俺の厨二レベルは『早熟』でも上がらない。もうカンストしてるからな。



 さて心の準備もできた事だし、ちゃっちゃと登録するか。



 冒険者ギルドに入ったのだが、中は正面奥にカウンターがあり両サイドの壁には依頼書と思われる紙が貼り付けられている。

 何組かイスとテーブルもあり、なんていうか小奇麗な雰囲気だ。

 イメージしていたのは、依頼書や家具などは乱雑に置いてあり、強面のにーちゃん達がたむろしている所だったが、全然違ったわ。

 受付の人も、女性男性共にニコニコしていて清潔感のある見た目だし。ちょっと銀行っぽい気がする。


 その中でも男で比較的暗い人の所に行く。

 あ、こいつリア充センサーが反応しない。さては、お前友達いないな!

 俺ぐらいのぼっちになるとリア充を見分ける能力を持っているのである。




 「冒険者ギルドへようこそ! 本日はどの様なご用件でしょうか?」


 接客になった瞬間、満面の笑みを浮かべてしゃべりだしたんだが。

 友達いないくせにこいつ……プロだな!


 「あ、え、えっと、し、新規? の登録というか……」


 久々に声を出したから調子が出ないだけ。うん。いつもはもっとちゃんとしゃべれるよ?


 「冒険者ギルドへの新規登録ですね? (うなずく俺)かしこまりました。ありがとうございます! では、こちらの水晶の上に手を置いていただけますか? その状態で必要事項をおっしゃっていただければ登録完了です」


 カウンターの中から掌サイズの水晶を取り出し、その中にカードの様なものを刺しこんでいる。

 なにこれハイテクなの? たぶん魔法かなにかでやってるんだろうけども、書類とか必要な現代より進んでるわ。


 友達いない受付が質問してくる、必要事項の名前と年齢あと犯罪歴とか持病などを適当に答えていく。

 名前はもちろん偽名だ。本名プレイとかナンセンス。俺に似合いの真名マナで登録しておいた。

 真名マナなのに偽名とはこれ如何いかに。まぁそういう病気ちゅーにだからしょうがないね。



 どうやら登録は無料らしい。色々理由を説明していたが、興味がないので聞き流す。

 その後カードを渡されて、ギルドの説明をしてくれた。こっちは重要な事なんでちゃんと聞いている。俺偉い。

 まとめるとこんな感じ。


 ・ギルドに不利益な行為を行わない事。

 ・他ギルドからの依頼を受けない事。

 ・依頼書とギルドカードを持って受付に提出すると、依頼の受任となる。

 ・依頼を受任して(期限以内に)達成できなかった場合は報酬の半額をギルドに支払う事。期限は依頼によって変わる。

 ・ギルドカードは一等級から十等級まである。最初は一等級から始まる。十等級は国内でも数名。

 ・等級が高いほど依頼の難易度、危険度、報酬が高い。

 ・等級は依頼の達成数が規定の数を超えると上昇する。四等級以上は実戦的な試験もある。

 ・等級が上がるとギルドカードの色が変わる。等級4、7、10になると色が変更される。

 ・同じ色の等級の依頼を受ける事ができる。ただし等級10は7~9の依頼も受任可能。

 ・討伐依頼は指定部位の持ち帰りが条件。指定部位以外でも買取をしている。

 ・採取依頼は専門知識がある程度必要。



 魔物とか倒せる気がしないから当然採取依頼一択。

 登録が済めば後はバリバリ働くのみ。社畜乙。あれ、自営業だとなんて言うんだろ。自畜?

 自分は自分という人間の奴隷。なにそれカッコイイ。

 これから流行りそうだな、自畜。俺の中だけで。

 

 渡されたギルドカードは名前と等級だけ書いてある簡素なものだった。

 そんなもんか。元の世界の会員証とかポイントカードも、店と自分の名前ぐらいしか書いてないしな。


 等級と依頼の中身を確認した採取の依頼書を、友達のいない受付に持っていき無言でギルドカードと依頼書を提出した。


「依頼の受任ありがとうございます! 期限や採取物の確認をお願いします。こちらでよろしいでしょうか?」


 無言でうなずく俺。うむ。


「かしこまりました。それでは依頼の受任を確認いたしました。ありがとうございました。依頼のご報告をお待ちしております。」




***




 そうして俺は冒険者ギルドを後にし、街の外に出た。さぁて、仕事しますかね。

 依頼書に採取する草の特徴と生息地が書いてあるからなんとかなるだろ。

 魔物に遭わない様に気をつけないとな。遭ったらガンダッシュで逃げよう。


 まぁ、なんだかんだ言って最初街の外で気がついた時も遭わなかったし大丈夫だろ。




 街の外に出て5分ぐらい歩いたところで、依頼書にある草の生息地らしき場所に着いた。

 正直草が生えすぎててどれが依頼書にあるやつなのかわからねぇ。

 仕方ない。一本づつ抜いて依頼書と見比べるしかないな。

 はぁ……まじめんどい……自畜の道は遠い。


 しかし結構違うのが多いな。依頼書にある規定の数まで集めるのにこれはそうとう時間かかるぞ。



 その後一時間抜いては見比べ、抜いては見比べを続けていたら。



――――テロン♪――――


『植物知識LV1を習得しました』


『採取LV1を習得しました』





 スキルきたああああああ



 これで効率一気に上がるだろ。効率厨バンザイ。

 スキル取得後は抜く前にどれが依頼の草なのかわかるようになった。

 それにより作業時間はかなり短くなり、その後15分ほどで規定の数に達する事ができた。

 あれ、この速さなら採取系だけで生きていけるんじゃね?

 いやぁ『早熟』さまさまだな。なんというチート。


 じゃあ帰るかな。

 今日はこれで依頼は終わりにして、後は宿を探さないと。





 え、まじか、やばい。







 魔物がいる。



 大丈夫だ。まだこっちには気づいてないはずだ。

 

 全身緑色で150cmほどの人型の魔物。いわゆるゴブリンてやつか。

 向こうの世界の御伽噺おとぎばなしの中には良く出てくるが、こっちの世界では現実にいる生き物なのかよ。


 そんな事考えている場合じゃない、気づかれない内に早く逃げないと。



 げ、やばいやばい。恐怖で足が全然動かない。

 

 膝がガクガクしてヨボヨボのじーさんみたいにしか歩けない。



 あ、きづかれた





***




 え? その後どうしたって?

 気がついたら街まで戻ってて、昼間だったのが夜になってた。

 必死に逃げて、無事に街に着いた所で気絶したりとかしてないはず。たぶん。


 意識ない時間が割と長かったのに、銀貨とかすられてない。

 案外この街は治安いいな。



 とりあえずギルドで依頼の達成報告をしてどっかの宿に泊まろう。疲れたよ……パト○ッシュ。



 ギルドで友達がそこそこいなさそうな受付に報告をして報酬をもらい、その後は近くにあった比較的安めの宿に入り、ベッドにダイブする。

 大の字になりながら、疲れているが今後の事を考える。

 宿代は依頼の報酬とほぼ同額だった。何件かこなせば生活はできるな。

 ちなみに友達のいない受付はいなかった。早上がりだったんだろう。


 しかしまた魔物にあった場合どうするか。正直今のところ自衛手段がないからなぁ。

 剣や魔法のスキルを覚えて、装備をある程度そろえるのがいいか?

 しかしどうやってスキルを覚えればいいんだ? ただ闇雲にやっていても覚えられる気がしない。

 装備をそろえるのにもかなり金を使いそうだ。


 あー、だめだ。眠くて何も思いつかん。明日考えよ。

 うん、それがいい。明日できる事は明日やればいい。by俺




 そうして、長く大変だった異世界生活二日目は幕を閉じたのだった。

次回予告:初めての依頼を達成した彼。自分を守る為のスキルを身につけようとするが?


次回 6話 先輩冒険者

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