1.1
ほんとごめんなさい。更新遅れてすいません。
二銃のガンナイトは明日、明後日にでも……。
「これは……」
もう一度クエストを見直す。今回は俺に来たということらしい。今回というのはこのクエストが、その事件の目撃者の1人に来ているということだ。今までクエストが来た人は何人もいるらしいがその全員が死んだといわれている。実際掲示板の利用者でこのクエストを受けた≪Yuu≫というプレイヤーも、命の神殿の石碑には名前がない。
俺は武者震いした。震えたその手でクエストウィンドウのYESを押す。すると視界の右上に地図と、その中に黄色の点が一つ現れた。
「おい、大丈夫なのか、そのクエスト?」
「あぁ。ちょっと行ってくるわ……」
俺はそう言い、黄色の点の方に走って行った。
「死ぬなよ!」
叫ぶようにエリが言う。
俺は無言で裏道の方に走って行った。
黄色の点はなかなかの速度で移動している。裏道を縦横無尽に駆け回っているのだ。それを俺が追っているのだ。
「なかなかしぶといな……」
そう、呟いてしまう。
殺人鬼≪ベリーモ≫は俺が見えただけでも白のフーデッドローブを纏い、腰に西洋の剣を掲げたいたって普通のプレイヤーのようだった。
そんなこんなで走り回って10分が経った。ベリーモは裏道を適当に走っているようだったが、人けの少ない所――町の西の方に走っているようにも見て取れた。実際、今走っているのは、事件のあった所からだいぶ西に行っている。
走り回るがとうとう諦めたのかベリーモは止まりこちらを向いた。
ベリーモは白のフーデッドローブに腰には剣を付けているようだ。裏道は真っ暗だが、ここだけは家の光もあり少し照らされている。
ベリーモは剣を引き抜くと、ゆっくりとこちらに迫ってくる。戦闘態勢に入ったというわけだ。気づけばベリーモの頭上にはHPバーと殺人鬼≪ベリーモ≫というモンスター名が表示されている。
『殺人鬼≪ベリーモ≫様からのデュエルを受諾しました。形式はデスマッチです』
そう書かれたウィンドウが表示されている。つまり殺人鬼≪ベリーモ≫というのは街ではプレイヤーという扱いで、クエストの退治というのはデスマッチに勝つということらしい。そもそも町での戦闘はデュエル以外は行えない仕様になっているのだ。
忍者刀を取り出し戦闘態勢に入る。お互いの間合いを徐々に詰めていきそして激突した。ベリーモの持つ剣と忍者刀は大きな音をたて何度も何度もぶつかりあう。が、何十回と
ぶつかったがどちらとも衝撃ダメージすらない。攻撃力はあまり高くないらしい。
だが、少し計算外のことがある。それはスタミナが予想以上に減っていることだ。今までに数回スキルを使ったが、そこまで減らないと考えていた。多くて1割。だが、その予想は大きく外れていた。残りスタミナ値は6割。予想の4倍多く減っている。スタミナ値は常に回復しているが底なしではない。こんなに減っていては回復が追いつかない。通常攻撃だけでベリーモと戦うのは無理がある。ではどうやって戦えばいいのか。導き出せる答えは一つだ。強力なスキルを早くそしてたくさん使い速攻で打ち勝つしかないのだ。
俺はベリーモとの間合いをとる。
「決める……。【阿修羅】」
そう言うと、左手に光の小刀が現れる。それを確認した後ダッシュでお互いの間合いを素早く詰め、そしてベリーモに攻撃を放つ。3秒間で放たれる攻撃はおよそ100回。その素早さから、目が眩み手が3本あるかのように見えるため阿修羅と名付けられた。
そう、阿修羅は俺の自慢のスキルの1つでもあり秘技でもあるのだ。PvPでも使うことはなく、使ったとしても結果が見え見えなので使わないようにしていた。結果というのも相手を必ず倒せるということだ。だが、それも簡単に打ち砕かれてしまった。俺の放った斬撃を殆ど受け流しているのだ。少しは受け流せていなかったがそれもほんのちょっと。HP1割程度だ。
だが、まだまだだ。俺は、最後のスイングに全体重を込め、体を空中で横回転させる。着地時にもう一度敵を斬る。流石にこの攻撃は予想していなかったのか攻撃が相手の剣を大きく弾く。
ナイスタイミングと言わざるえない。俺はすかさず敵の腹に攻撃を叩き込む。
一瞬にして持ち直したが、あのおかげで相手の体力は残り8割。俺はまだ9割だ。もう一度間合いをとり見つめ合う。
じりじりと相手が近づいてくる。それを確認し、もう一度相手の目を見る。フードの中に隠れた目を見つめる。そこで俺はあることに気が付いた。
――なぜか体が反応しない。
俺は近づいてくる敵に向かって剣を向けようとするがまるで腕の神経が切れたかのように動こうとしない。どういうことだ。何がなんだかわからない……。足を動かそうとするがやはり動かない。
これはデスマッチだ。デスマッチは名の通りお互いの命を懸けるデュエルだ。つまりこれに負けたら、それは死を意味するのだ。
――俺は死ぬんだ。
ベリーモの剣は大きく振り上げられもう振り下ろされるというところまできていた。
≪……眠れ……≫
頭の中で響き渡る誰かの声。それと同時に剣は振り下ろされた。自分のHPバーがかなりの勢いで減って行っている。腹から伝わる痛み。
あぁ死んだんだ……。
こんなのチートだろ。
あぁもっと生きたかった。死にたくなかった……。
ドサッと操作を失った体は地面に倒れ、うっすらとなる視界でベリーモの立ち去る後姿を確認し俺は目を閉じた。
次回の更新を境として
小説の題名を
Online Sutry
から
Cruel World
に変更します。
理由は題名と内容の不一致です。
次回からは
Cruel World
になっておりますので確認をよろしくお願いします。
絶英
2167文字