0.5
スーパー短い+章の終わりです。
「愛理……?」
あり得ない……。愛理は、勉強熱心だった。ゲームもあまりしないだろうし、たくさんするような性格でもなさそうだ。そんな愛理が、この世界にいるはずがない。
「あ……。あ……」
エリは相当動揺して、頭が混乱しているようで目を点にしている。
愛理と顔は似ているがやはり勘違いだと思った。地球には何人か似た人がいるっていうし……。俺が陸上をしていたときの髪の長さとか顔とか覚えてないだろう。というか俺の存在も忘れているのではないだろうか。それだったら悲しむべきだが無理もない。数か月学校に行っていないわけではあるから忘れている人もいるだろう。
「あ……。あ……。じゅ……?」
何って言ったかは聞こえなかったが小さな声で何かを呟く。それからエリの目には徐々に涙がたまっていくのが分かる。そして、エリはバッと俺に倒れかかるように抱き着いてくる。
「お、おい……」
俺はエリの肩を持ち引き離そうとするが離れようとしない。
「なんで……」
俺の胸に顔を埋めるエリが小さく呟く。
「なんで……こうなったのよ……?」
顔をあげ俺に問いかける。困った質問だ。俺に分かるわけがない。分かったら逆にすごいぐらいだ。
「そんなの分かるわけないだろ……」
ゲーム内での時刻は既に朝の6時を指している。いつもならこんなに早起きはしない。早くて10時、遅くて15時ぐらいだろう。きっと、麻痺状態プラス眠り状態で眠っていたためその時間分だけ眠気が解消されたのだろうか。
デスゲーム1日目。1日目なのに恐怖感がほとんどない。奥底ではあるのかもしれないが表面上――見つけられる部分ではない。なぜか俺は、みんなが怖がり、悲しみ、泣き叫び、肩を落としている中で、怖がりもせず泣きもせずただ平然と立っていた。俺はこのようなデスゲームを求めていたのかもしれない。そう思うと自分が嫌でしょうがなく、自分を殺したくなってしまう。
俺はあの後、夜遅いこともあるためいったん適当な宿屋を見つけてそこに泊ることにした。殆どの人がそうだ。ごく一部の人が冒険に出たり、町の中を歩いていたりした。
2つ並ぶベッドの俺の横のベッドでエリがすぅすぅと寝息をたてながら寝ている。寝ていることを確認した後に、立ち上がり近くの椅子に座る。
「下調べしとくか……」
ウィンドウを開き、掲示板に繋ぐ。そこの『攻略スレ』というのに書かれている内容を読んだ。
スレに書かれていた情報はそこまで多くはなかったが一応あげておく。
・生活スキルの実装。
生活スキルとは、生活に必要な技術、料理などがスキルになっていること
・初心者、低Lvプレイヤーへの救済ダンジョン実装。
外の敵は強いらしいため、低LVプレイヤーなどが使えるように低Lvダンジョンが用意
された。勿論ここでもデスゲーム仕様。アイテムドロップあり。
・1階では森、砂漠など地域に分かれているがモンスターがポップしないため観光に使用
可能。
・次の階に進むには、イベントクエストを受注、クリアする必要がある。
・上記は全てメンテナンスで追加された情報。
とまぁこのくらいだ。俺も平然としていると言っても完全に平気というわけではない。
きっとデスゲーム化で少し恐怖を感じていると思う。そう思いたい。だから、期を待って
落ち着いてからエリと行こう、俺はそう思った。
優しげなエリの寝顔を見つめながら「もう一人眠り」と言い俺はベッドの中に潜りこん
だ。エリに纏わるいつかの懐かしいオーラを背中に感じ、これからもエリと一緒にいよう
と決心した。
やっぱ短いですが、許してください。
次回からまた長くなるはずですから。
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次章に入る前に休憩をとりますので次回掲載予定日は9月15日~30日になると思います。