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I am Unknown  作者: 雪人
1/7

Unknown in the cockpit

私は、機械である。

改造人間と言ったほうがわかりやすいかもしれない。私は頭の中をほとんど機械にされているのだ。

人間としての感情などは、一応残っているらしい。正直、そんなにはないと思う。

そりゃ、多少何かを考えたりはするが、怒りや高揚、悲しみなどは感じたことが無い。

別に困りはしないが。

元々は普通の人間だったらしいのだが、そのときの記憶は、無い。

普通の人間だったというのも、ドクターがしゃべっていたのを聞いたから知っているだけだ。

なぜここにいるのか?なぜ機械にされたのか?

そんなことは、まったくわからない。

けれども、特別な感傷などは一切わいてこない。それもそうだろう。

目が覚めたときから、ずっとここにいるのだから。まぁたったの3年間だけだが。

外の世界を見たことなら何度もある。強化ガラス越しにだが。

人と話したことだって数え切れない。命令に対する受け答えしかないけど。

それ以外は、この暗い空間で、一人、時間が過ぎるのを待つだけである。

だけど、全く苦しくない。理由は、前述したでしょう?


だけど、時折、ふと、歌が浮かび上がってくる。 なんの歌かはわからない。

ただ、ひどく心地よくなる歌なのだ。私が認識する、唯一の特別な感情かもしれない。

私は、その歌が浮かび上がるたびに、心のままにそれを歌う。理由なんてない。

「ゆーりかごのうーたを・・・かーなりあーが・・・」

歌詞の意味は、よくわからない。 

「うーたうよ~・・・」

そのときだった。

「・・ドゆう・・。聞こえるか・・」

頭につながっているケーブルから脳に声が響いた。

「・・コードU。聞こえるか」隊長の声だ。

「はい、聞こえます」

「よし、通じたか。お前に命令が出た」

「出撃ですか?」

「あぁ、そうだ。準備をしろ。内容は今送っているところだ。」

そう言われると同時に、頭の中に今回のミッションが映し出された。

敵戦闘機3機の撃墜。場所は・・・ここから随分と近い。ゆっくり飛んでも10分はかからない。

「こんな近くでですか?」

「あぁ、そうだ。監視係が腑抜けなせいで、敵さんが随分と近づいてきちまったらしい」

「これは急いだほうがいいんですか?」

「あぁそうだ」

敵戦闘機は、こちらの監視網の内側に入り込んでいて、このままほっとけばここまで来てしまうかもしれない。まぁその前に第二防衛ラインで堕とされる確率のほうが高いだろうが。私は念のために行かされるのだろう。

「しかし・・・また旧式な形の飛行機ですね」私は頭に映し出された映像を見て言った。

「まぁそう言ってやんな。おそらく特攻に渡された機体だ。安く済まされるのも仕方は無いさ」

「そんなものですか・・・」

それは少しかわいそうな方々だ。そうは思うが、同情の念はない。

「だが、油断するなよ。特攻は何をしでかすか分からないからな」

隊長が言う。

「わかってます、隊長」

私はつながっているケーブルから直接、メインコンピューターに命令を下す。

途端、空間に光が溢れた。頭にはケーブルがつながり、体の至る所も強化された私の体が見えるようになる。

「でも・・・」

「ん?」

コックピットに座りながら、格納庫の扉を開ける。愛機の翼を広げさせる。鋭角的な扇形だと、誰かが言っていた。

「私、思ったんですけど・・」

「・・なんだ?」

ジェットエンジンを点火準備。 猛り狂う火が点こうとしている。

「・・・特攻兵如きが3機いたところで、何の脅威になるんですか?」

「・・・お前にとっては、何も無いさ」

エンジンが唸りを上げる。私の感覚は愛機「U-ゼウス」に溶け、同一となる。さぁ、飛ぼう。

「コードU発進だ!」隊長が言う。

ジェットエンジンに点火。凄まじい爆発がエンジン内で起こる。

「オーケー、レディー。 I am Unknown。 発進します」

そして『私』は風を感じながら、空へと飛び立った。

お読みいただいてありがとうございます。

初めて連載小説というものに挑戦しました。

今はまだ初回なので、書きたいことは中々かけてはないのですが、これからがんばっていくつもりです。付き合って下さる方がいれば、よろしくお願いします。

感想などもらえたらうれしいです。

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