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女騎士、思わぬ好敵手に出会う

【お詫び】前話を予約投稿した後で予約解除したらそのまま投稿になってしまいました。投稿機能をきちんと理解しておらず、申し訳ありません。誤字脱字がいつもより多い可能性があります。ちょっとずつ見直していきますので突然大幅改稿されていたら、察していただけると幸いです。


そんなこんなですが楽しんでいただけたらうれしいです!




「なぁ、ティナ。あの、あとから来た男たちってさ」

「うん、わたしの仲間だね。ロイとスニフ」


 やっぱりか。

 ネイブロ村から馬車の護衛として一緒に来てた男たちだ。ティナとよく話していたのはアークスだったからあの二人の名前をあたしはいま知った。


「あの男の言い分だけ一応聞いて、グダグタ言うならはっ倒そうと思ったんだけど、あそこにいた彼らが手振りで止めようとしてたからさ」


 それであーなったのか。


「お酒呑ませる、みたいなこと言ってたから任せたけどアレ自分たちも呑みたいからだろうなぁ」

「マジか」


 いやまぁ、あの人たちにとっちゃ昨日と今日は休みの日みたいなもんだろうから朝から酒飲んでたところで誰も止めやしないし、平和な解決ができたからいいんだろうけど。


 酒は好きじゃない。孤児院のインチョーを思い出す。


「酒って、そんな美味いもんなんか?」

「お酒は美味しいよ」


 ちょっと意外。ティナは酒好きなのか。

 あ、でもね、と慌てたようにティナは付け加えた。


「お酒と言ってもいろいろ種類があるんだ。果実酒、蜜酒、麦酒とかね。他にも火酒って呼ばれる幻のすごく強いお酒もあるんだよ」


 酒ってそんなにも種類があるのか。


「自分がムリなく飲めるものを飲める分だけ飲むのがお酒と付き合うコツね。飲み過ぎはダメ。お酒は飲み過ぎると身体にも頭にも毒になるから」


 そっか、酒を飲んだインチョーは飲みすぎで毒が回った状態だったのか。

 神殿でもそういえば供物だっていって酒を持ってくる人がいたけど、大抵神殿長と成人済みの上級巫女がこっそり飲んでたな。ヤツらバレてねーつもりだったろうがこっちは知ってんだっての。


「ここからが大事だよ、リア。まずお酒は成人してから。この国の成人は何歳?」

「えっと、十五?」

「そ、十五歳。だからリアはまだ飲めない」

「別に飲みたくない」

「それから、飲まない人に無理やり飲ますのはダメ。あと、今のリアにお酒を勧める人からの食べるもの飲むものはぜっったいに断ること。お酒なんて果実水と変わらないよ、なんていわれてもダメ」

「なんで?」

「そういう奴はリアに悪戯しようとしてる変態に決まってるから」

「はぁっ!?」


 いたずらってなんだ? 顔に落書きとか、あ、そっちじゃないな。鼻息荒いオッサンが服脱がそうとする方のことか。


「あたしみたいなのにそんなことしようとするヤツ、いんのか?」


 孤児院時代には、そんなこともあった。

 浮浪者のオッサンだったと思う。だからどんなんでも良かったんだろう。チビのガキなんて力ないし楽な獲物だ。けど、フツーの男でこんなんに手ぇ伸ばすようなヤツがいるわけ。


「いるよ!」

「いんだよ!」


 ティナの声と重なってもう一つ、少し甲高い声が聞こえた。どこだと見回すと、ティナの背中から顔がにゅっと飛び出した。


「幼い女児はそれだけで危険なんだ。さっき、銀色の髪の子も一人であるいてて危ないと思ったら案の定悪い男に絡まれていたしな。お前も、そのナリなら目をつけられてもおかしくない!」


 おさない、じょじって。

 あたしのことか? コイツだって同じくらいの年に見えるんだが。


「いくら強い身内がいても自分の身は自分で守るのが旅するモンの流儀だ!」

「そうだね。じゃあキミもまずは背中から降りてくれるかな」


 そうだな、人に背負われて言うセリフじゃねーな。そしてお前も助けられた側だろうが。

 ティナの背中から危なげなく降りたソイツはあたしをまっすぐに見ながらティナをびっと指さした。


「この人はかなり強そうだが、いつでもお前を守れるとは限らない。せめて善人ぶって近づいてくるヤツからは身を守れるようにするといい!」


 これどう返しゃいいんだ?

 悩んでたらティナがあたしの頭をポンポンと撫でた。うん、あとは頼んだ!


「忠告ありがとう。それとわたしが強そうなんて言ってくれて、そっちもお礼を言うべきかな?」

「謙遜は美徳じゃないぞ! アンタはオレの母さんくらい強い! そうだ、さっきは助かった! さすがのオレ様も危なかったからな!」


 一応お礼のつもりのようだけど、自分のことをオレ様? コイツ何者? きらきらした目で見られてティナも少し困ってるみたいだ。


「で、キミの名前は?」

「オレはフィロ。クルムとリーザの息子のフィロだ」


 ドヤーってしてるけど、ティナは名前しか聞いてないのに両親っぽい名前までなんで言うんだろうか。

 オレ様少年・フィロの肌はどれだけ日に焼けたのかってくらいの色をしてる。けどそれが黒い髪とよく合ってて、よくわからん自信に漲った態度にも合ってる。


「その名乗り方だと、フィロはもしかして南領出身?」

「そうだ! 南領最南端の村がオレ様のふるさとだ!」


 なるほど。住んでる場所によって名乗り方って違うんだなぁ。


「そういうお前たちは?」

「わたしはティナ。こっちは妹のリアだよ。先に伝えておくと、わたしたちがいたところでは父母の名乗りはしないから」

「なん、だとっ……父母の名乗りをしないのか!?」

「わたしが知る限りだけど、南領の一部地域の風習みたいだよ」


 ティナの指摘にフィロは衝撃を受けてるみたいだ。

 きっとそれがフィロの普通だったのに、自分たちだけだったことを知って驚いたどころの騒ぎじゃないんだろうな。

 あとから聞いた話だが、この父母の名乗りっていうのは自分の名前と一緒に両親の名前を言うことで個人を特定しやすくするためのものらしい。同じ名前や似た名前が多かった頃の名残りだろうって。


「で、フィロは誰とこの村に来てるの?」

「ゔぇ!?」


 突然挙動不審になったけど、フィロはこの村の人間じゃないことくらいわかってる。自分でふるさとがどこだとか旅するものはどーだとか言ってんだから。


「フィロだってまだ小さいんだから大人と一緒のはずだよね? もしかして迷」

「ち、違うぞっ! オレ様はけっして迷子なんかじゃないぞ!! 散歩してたら宿の場所がわからなくなっただけだ!!」

「迷子じゃねーか!」


 それを迷子と言わずになんて言うんだよ!




◇◇◇◇◇◇◇




「オレと母さんは一週間くらい前にこの村に着いたんだ」


 迷子とバレたからか自分をオレ様と言わなくなったな。


 フィロは母親と故郷の南領を離れ、行商をしながら一年以上かけて東領と王都を回ってバルレイ村まできたらしい。けど村に着いてすぐ、荷駄用の馬が死んでしまった。さすがに荷物全部を親子二人では背負っても運べない。新しい馬を買うほどの持ち合わせはない。


「困ってたらさ、長距離馬車ってのが来るって教えてもらったんだ!」


 南領へ向かう長距離馬車がくるまで宿に泊まって母親は商いを、フィロは宿の手伝いや村内の雑用をしながら馬車の到着を待っていたらしい。


 ん?


 ってことは、もしかしなくても明日からコイツと一緒なのか?

 あたしたちもまだあの馬車に乗るんだもんな?


「わたしたち、その長距離馬車で昨日ここに着いたんだよ。そのまま明日また乗る予定だから一緒になるねぇ」


 同乗確定。


「そうなのか!? じゃあ明日からよろしく頼むな!」


 よろしくしたくねぇんだけど!?

 孤児院時代に絡んできた近所のガキもウザかったけど、コイツは別の方向でめんどくさそうでヤなんだけど。

 ティナの背に隠れながらうだうだ考えてた時だった。


「フィロっ!?」


 そう叫んだのは少し離れたところにいたひとりの女性だった。

 年はティナより少し上だろうか。ふわりと波打つ黒くて長い髪が乱れて、肩で息をしてるところからずっと走ってきたようだ。色白の肌も少し赤みがさしている。

 ひょっとして、この人が。


「母ちゃん!!」


 やっぱりか。肌の色は違うけど髪の色が同じだし顔立ちがよく似てるもんな。

 息子の顔を確認したその女性は少しほっとした顔を見せた次の瞬間、こっちめがけてすんごい顔して走ってきたかと思うと拳を振り上げてティナへ飛び掛った。


「こンの人攫いがっっつ!」


 はぁっ!?


 身動きできなかったあたしの目の前が土煙で覆われた。顔を背けてやり過ごすとあたしの目の前、ティナが立っていた場所に例の女性がいた。

 眉間に深く皺を寄せて恐ろしいまでに吊り上がった眼は数歩後退ったティナへ向けられていた。


「うちの息子をどこへ連れてくつもりだい?!」

「どこにも連れて行くつもりはありませんよ」

「気を失ったフィロをアンタが背負って連れて行くのを見た人がいたんだよ! どこかで奴隷として売るつもりなんだろう!?」

「いいえ。わたしにそんなつもりはありません」


 信じられるか? これすごい速さで動きながらしてる会話なんだぜ、全部だよ全部。

 フィロの母親が動く速さもすごいけど、繰り出される拳を全部避けるティナもすごい。しかも冷静だし。


「嘘をお言いでないよ! フィロだけじゃなくてあの娘っ子だってどっかで攫ってきたに違いないんだ!」

「その子はわたしの妹です」

「全然似てないじゃないかっ!」

「はい、血は繋がっていませんから、似てないのは当然です」


 なんでだろ。胸の奥がズキリと痛い。

 嘘は言ってない。

 ティナはあたしを妹として扱っているし、似てないのも、血が繋がってないのもすべて本当のことしか言ってない。

 何をあたしはイヤだって感じてるんだ?

 

「母ちゃんはやっぱすげーや!!」


 母ちゃんいけーって、こいつアホかっ!? 

 なんか、考えてたことが全部吹っ飛んじまって、代わりに湧き上がってきたのは目の前のフィロに対してのイライラ。


「何言ってんだよテメーは! なんでティナとお前のかーちゃんが戦ってんのかわかってねーのか!?」

「わかんねぇ!」


 はぁ!? あっけらかんと言うセリフか!?


「でも母ちゃんが戦ってたら応援するのは当たり前だからな!!」

「何言ってんだこのアホがー!! お前のかーちゃんはなぁ、お前がティナに攫われたと思ってんだよ! おまえがその勘違いを直さないでどうすんだ!!」

「そうなのか?」


 ああもうっっ! なんだってあたしがこんなことまでいわなきゃなんねぇんだよ!


「なぁ、いまのは本当のことかい? 金髪の娘っ子」


 フィロの母親はピタリと動きを止めてあたしに顔も見ずに話しかけてきた。あぁ、もうなんか腹立つ〜!!


「嘘言ってどうすんだよ! アンタの息子を背負ってたのはな、コイツが無謀なことして気ィ失ったから休ませられるところを探してただけだ! わかったかこの似たもの親子!!」


 話をちゃんと聞いてないところなんてホントそっくりだよコイツら!

 ここまで言ってもまだ信じないでティナに拳をむけたら、なんて考えたところへ。


 フィロの母親はティナに向かって、土下座した。


「ホントにすまない! 息子が連れ去られたって聞いて頭に血が上っちまった! 人攫いどころか息子の恩人に拳を振るうなんてっっ!!」

「いえ、わかっていただけたらそれでいいんです」

「いいやよかない! 御礼とお詫びはきっちりしなけりゃ商人失格になっちまう! 私ができることはなんでもするよ!」

「えぇ〜……」


 うわぁ、なんかこういうのも面倒くさそうだな。

 ティナはこの次になんて言うんだろうと少しハラハラしてたんだが。


「ん〜、じゃあお昼をご一緒にどうですか?」


 は?


 あたしは思わず目を剥いた。

 似たもの親子も目ぇ丸くしてる。


 待て、なんでそうなるんだよ!!





なんとか進められてるのでこのままキャラが動くままに任せて………いいんだろうか(悩)

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