佐渡は荒海。カモメ鳴け鳴け。
雨は降り続く。気温は下がって来る。
頼む!晴れてちょーだい!
私の祈りは天に通じたか。フェリー乗り場が近くなったら小雨になってきた。
マイカーはフェリー置き場の駐車場に置き、そこからフェリーに乗るのである。
二日分の荷物を持って降りる。佐渡ヶ島でレンタカーを借りるのだ。
(あと二日分の服は車に置いて置く。貴重品は無し。)
寒い!駐車場からフェリー乗り場にいく通路でも容赦無く寒い!外は小雨混じりである。
ふう。待ち合い所にいけばこっちのもの。
寒くないぞ!さて、待ち時間にみやげを見てみましょうか。
なんと。私が愛してやまない「へぎそば」があるではないか。帰りに絶対買おう、そうしよう。
荷物になるものね!
(フラグ)
フェリーは午後の便なのだ。そして佐渡ヶ島には三時過ぎに着く。
ではここでお昼ご飯。
もう少しで十二時だ。
寒いから麺が良いだろうか?
おや?「ブリカツ丼」?
という事は魚のブリのカツですね?
食べ事ないなあ。頼んでみるか。
ほほう。思った以上に美味しい。鶏肉のササミの様だがそれよりも柔らかく、あっさりである。
上にかかってるのはソースかと思えばそうではない?
天丼のタレに近い感じである。
味噌汁も冷えた体には嬉しい。それに何気に好物の煮卵が乗っているではないか。
ラーメンのトッピングには卵を頼む私なのである。
(家系ラーメンや一風堂とかね。)
半熟の黄身が良い塩梅である。
…ご馳走様でした。
さて、私がフェリーに乗るのは人生で二度目である。
高校の修学旅行で「さんふらわあ」に乗ったのだ。
太陽のマークが船体にどーん!とついているニクイ奴です。
昔「さん○らわあ〜たいよーにまもられーて♫」
というコマーシャルが流れていたことをご記憶の方も多いであろう。
その時は船酔いはしなかった。もちろん一番安い席だから絨毯上で寝たが、ゴロリと転がることもなかったと思う。
しかし。今回は結婚35周年の記念旅行なのです、実は!
と言うわけで夫がリクライニングシートを取ってくれた。ありがとう!
これで波も安心だね!
さて、お時間です。
「団体のお客様が先のご案内となります〜」
なるほど。そろいのバッチをつけた善男善女が揃い踏みだ。
大丈夫、ウチらは指定席なのだから。
広い海の様な心でどうぞ、どうぞと見送る。
連絡通路の窓から見たフェリー。これに乗ります。
さて、船室はどこかしら。
あった、あった。ここだ。
良いね。よく眠れそう。
それに空いてるわ。隣の席なんかいない。後もだよ。
ちょっと離れたところに何人かいるな。
テレビの「のど自慢」を見ながら、足を伸ばして(足乗せるところも付いてる)ゆったりする私。
…離岸する。うん、少し揺れるかな。
ああ、このリクライニングシートに身を横たえていると、多少の振動もマッサージチェアのマッサージにも似てゆったり…。
と、余裕をこいていたのは初めだけであった。
揺れる。
窓際の席だったのだが、目の下のデッキに波がぶつかって波飛沫がたっている。
この揺れは飛行機で、
「今、気流の乱れた所を飛んでおりますが、飛行機の運行には障害はございません。」
というアナウンスが流れるレベルである。
やはり佐渡は荒海か。日本海に揉まれているのか。
しかし。今日は四時前から起きているのだ。
出たのは五時半だが、当初の予定は五時出発だった。
五時に出るということは?四時には起きて準備をする事が望ましい。
というわけで三時五十分には起きていた。
とにかく眠たい。寝ていれば酔わないであろう。
実は前日に「トラベルミン」を買った。
小学生以来のそれを服用するか迷っていたが、たちまち睡魔は襲ってくる。
ま、大丈夫だろう。
だんだんとフェリーは進む。
スマホの電波も届かない。寝よう。
ゴンゴゴン、カダーン、バッシャーン!
このようにリズミカルに揺れ始める。
ちなみに最後のバッシャーン!は、波飛沫の音である。
うとうとしてたら、振動で起きるという寸法だ。
途切れ途切れに寝る私。
「歩けるレベルじゃなかった。」
後から夫に聞いた。
しかしそんな時でも窓の外にはカモメかウミネコが飛んでいる。
ずーっと港からついてきているのだ。
船が揺れている時は近くでは無くて遠くを観れば良いという。
ウミネコ越しに曇り空をじっと見ていた。
ん?あれは陸地じゃないか。
佐渡ヶ島が見えてきた!




