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続・桜良について。

 今回は、最近判明した桜良(さくら)の新事実について綴ろうと思う。『桜良について。』の内容を前提として綴る為、まだ読んでない方はそちらを先に読んで頂きたい。

 桜良は8歳を自称してきた子供人格で、(なごみ)が小学3年生の春に生まれた人格…のはずだった。

 しかし、桜良と母が話をしていくうちにそれは少し違う事が判明した。桜良曰く、「小学3年生の春は桜良が『さくら』だと気付いた日。」だそうだ。つまり、『桜良』という名の人格が生まれた日は確かに和が小3の春だが、存在自体は昔からあったらしい。どうやら桜良は、和とニコイチ的存在として和が2~3歳の頃から常に和の隣にいたらしいのだ。本人の感覚としては、常に2人共が表に出て、その時々でどちらが前に出るかが変わったらしい。前に出ると言ってもシームレスに交代する為、今のような交代の感覚もなければ内界に居る事もなかったという。これは俺の推測でしかないが、今のようなはっきりとした人格交代は起こっておらず、当事者意識があったかどうかは置いておいてある程度記憶自体も共有出来ていたのかもしれない。それでも和の記憶になく、桜良だけが覚えている事象もいくつかあった。その為、桜良は和が3歳頃以降の記憶をとても鮮明に持っている。和が前に出ていた時の記憶もあるようだ。その頃は桜良も『和』として生活していたらしいが、自分が和とは別の存在である自覚はあったらしい。

 また、桜良と和がニコイチ的存在だと思う要因の一つに桜良の内界での容姿が挙げられる。どうやら、内界の桜良の姿は和の3歳頃と瓜二つだそうだ。表情の雰囲気は少し異なるらしい。ただ和の幼少期の写真のアルバムを見ると、時々他の写真より幼げな表情の写真がある。それが桜良の表情と一致するらしく、桜良自身も「これさくらだよ!」というのだ。どうやらそれらの写真は、桜良が前に出ていた時に撮影されたものらしい。それを踏まえると、本当に和と桜良は2人で1人だったのかもしれない。


 そして8歳を自称していたのは、名前が付いた時の和が8歳だったからだそうだ。だが、周囲から3歳ぐらいに見えると言われ、8歳よりも3歳の方が違和感がない事に気付いたという。それ以降桜良の自認は3歳になったようで、8歳という主張はしなくなった。

 また名前が付いた日を境に桜良は今の内界で生活するようになったそうだ。約5年間もの間一緒に居た和とバラバラになってしまったらしい。


 そしてもう1つ判明した事がある。2024年秋~2025年6月にかけての統合は、統合ではなかったかもしれないという事だ。和自身に統合の自覚はなく、欠落していた記憶が戻る事もなかった。また桜良に当時の感覚を訊くと、「昔みたいになごみちゃんと一緒に居たよ。」と言っていたらしい。つまり、桜良は桜良のまま、また和の隣に居たという事になる。そうなってくると、統合ではない可能性が高いのではないか。桜良自身、『桜良』という名前は中での名前と認識していたらしく、表で桜良と名乗る事はしなかったそうだ。ただ和は家での一人称が「なごみ」だが、桜良は癖で時々「なごみちゃん」と言っていた。確かに時々幼げに「なごみちゃん」と言っている事があった。それが桜良だったようだ。


 そんな桜良も今は表でも『桜良』として生活している。内界も向こうに戻ってしまい、和や俺に記憶が残る事もない。それでも、残してくれる動画や母の話を聞く限り、楽しく過ごしているようだ。

 ただ、やはり和と一緒に居たいという想いもあるようだ。しかし、のあたちと離れるのも寂しいだろう。いつか桜良たち3人と同じ内界で過ごせる日が来る事を願ってやまない。

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