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リアル異世界2  作者: 紘希


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星に願いを。

 今回は、俺たちの内界について綴りたいと思う。

 俺たちの内界は建物の外に出る事は出来ないが、窓から外を見る事が出来る。窓からの景色は、何もない原っぱ。奥に森が見える。そして現実世界と同じように時間が進み、朝には日が昇り、夜には月が出る。面白いのは天候で、内界の天気は基本人格である(なごみ)の精神状態が反映される。元気な時は晴れて、夜には満天の星を見る事が出来る。一方精神的に不安定になればなる程、強い雨が降る。ただどんなに強い雨が降っても雷が鳴る事はない。その理由はさくらが怖がるからだろうとずっと考えていたのだが、最近になって雷は怒りの感情を連想させることを思い出した。和は怒る事がない。ただひたすらに悲しんだり落ち込んだり反省をするだけなのだ。そうなると、内界で雷が鳴らない事もまた、和の感情の現れなのかもしれない。

 そんな内界には不思議なシステムがある。それは、『和とさくらが強く願い、さくらが2回流れ星にお願いをするとある程度は叶う』というもの。和の調子がいい時には、内界で流れ星が見える。その流れ星に2回、さくらがお願い事をすると大抵叶うのだ。ただしそれは和の願いでもある時だけ。和とさくら2人の強い思いがなければ、内界に変化をもたらす事は出来ない。

 これは、今まで何度か起きた内界の変化で導き出した法則だった。

 1回目は、俺と和が今とは別の内界に居た頃。「内界が1つになるといいね」とよく話していた。和がそれを強く望んで、内界が1つになるイメージをし続けたが中々叶わなかった。そんな時、さくらが母に「中の世界でお星さまにお願いしたら叶うかな」と言ったそうだ。母は「そうだね、流れ星にお願いしたら叶うかもしれないね。さくらお願いしてみて。」と返したそうだ。それを聞いた俺は、幼い子ならではの可愛らしい発想だななんて軽く考えていたのだが、さくらは真剣にお願いをしてくれたようだ。ただ1回目は何の変化も起こらなかった。しかし、2回目に祈った日に俺たちの内界は本当に1つになったのだ。

 その後も、(かなで)の再構成が起こったりと流れ星への願いは効果があった。

 そんな中、さくらがずっとお願いしていた事があった。それは内界にガーデンルームを作る事。俺たちの内界では、おもちゃなどはのあが出す事が出来るのだが、内界の設備までは管理者たるのあでも変える事が出来ない。そうなると、流れ星の出番だ。たださくらが願っただけでは実現せず、和との協力が必要なのではないかという仮説に至った。和にイメージを伝えて、共通認識を持ってもらった。それから内界が晴れるのを待ち、暫くしてやっと満天の星が輝く日がやってきた。さくらはすかさずお願い事をした。幸いな事に快晴は2日続き、さくらは2日続けて星に願い事をして内界で眠りについた。

 するとどうだろう。寝る前に表に出ていた奏が母と内界について話をしていたら内界に靄がかかっていたらしい。その後、強制交代が起こり和に交代した頃には内界は停止して和は内界が見えなかったようだ。これは、内界の様子が変わる前兆だ。

 前に内界が統合された時と状況が酷似していたことから、母は内界と繋がらない事を不安がる和に「内界に変化がするから一時的に遮断されているだけだろう」と説明して寝かしつけてくれたそうだ。

 そして内界に靄がかかってから約1時間、和が眠りについてから30分後にさくらが目覚めた。その時はまだ内界とは繋がっていなかったようで、母は和の時と同様さくらを寝かしつけた。そしてさくらが眠りにつこうとしたタイミングで内界と繋がったそうだ。すると、内界にはガーデンルームが出来ていて、そこにはさくらがお昼寝できるサイズの布団が敷かれたキッズテントがあった。中にはご丁寧にさくらが眠れるサイズの布団まで敷いてあった。

 今では、ガーデンルームにさくら用の遊具を移動させてガーデンルームはさくらの遊び場となっている。


 願い事全てが叶う訳ではないし、このシステムもあくまでも『俺たちの場合』であって他の当事者に当てはまるものではないだろう。

 ちなみに俺は、このシステムは「流れ星にお願い事をすると叶うという話を和とさくらが幼少期に信じていたからではないかと思っている。内界は無意識に作られた不思議な空間だが、やはり脳が創り出している以上基本人格やそれに近い人格によって形作られるのではないだろうか。

 そんな謎もいつか解明される時代がくるかもしれない。それがいつになるかはわからないが、実に多種多様なDIDの症例の1つとして今後も俺たちの内界や生活について綴ろうと思っている。

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