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リアル異世界2  作者: 紘希


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初めての誕生日。

 今回は、俺の誕生日について綴ろうと思う。

 誕生日と言っても、俺が生まれた日ではない。(なごみ)に初めて認識された日、俺が和宛てにメールを残した日の事だ。この日を境に俺と和はコミュニケーションが取れるようになったので、俺はこの日を誕生日にしている。

 朝は運よく俺が目覚める事が出来た。起床時間を記録しようとスマホを開くと、(みぎわ)からお祝いのイラストが届いていた。母・和・(あおい)・汀からは事前にプレゼントを貰っていた。それでも当日にメッセージをくれたのは嬉しかった。

 この日はB型事業所は予め休みにしていた。俺たちの中では人格たちの誕生日には休みを取り、1日好きな事をしていいという決まりがあるのだ。この日は前々から少し遠出をして、俺の好きなコーヒー店に連れて行ってもらえることになっていた。ドリップパックで飲んでとても美味しかったブランドだ。俺は前々からこの日を心待ちにしていたので、朝も予定より早く起きて準備をしていた。

 すると出勤前の父がやってきて、「紘希?」と訊いてきた。「うん。」と答えると、そのまま自室に戻りまた降りてきた。そして、「誕生日おめでとう」とラッピングが施されたプレゼントをくれた。父に了承を得て開けてみると、中には「Hiroki」と名入れされた万年筆が入っていた。万年筆は前々からいつか欲しいと思っていた物だった。ただ、なかなか手が出せずにいたのだ。そんな話を以前、父にもしていた。それを覚えていてくれたらしく、有名な万年筆メーカーで深海のような深いブルーのボディにブルーブラックのインクの入った万年筆を送ってくれた。ずっと欲しかった物だけにとても嬉しかった。父にお礼を言い、実際に使ってみるのは帰宅後のお楽しみにした。

 ほどなくして出発し、まずはコーヒー店に向かった。道中コンビニに寄って、俺の一番好きな菓子であるクッキーを買ってもらった。これは誕生日ケーキの代わりだ。

 そして車を走らせる事、1時間半。そこから電動車椅子で30分程移動し、コーヒー店に辿り着いた。店内は思ったよりも空いていて、電動車椅子でも困る事はなかった。母と2人で行っていたので、ディカフェのブラックとディカフェのカフェモカを頼んだが、実際には両方俺が飲んだ。ブラックは多少酸味があるがすっきりして飲みやすく、カフェモカはクリーミーな味わいだった。高級なだけあって、どれも美味しかった。ひとしきりコーヒーを楽しみ、おかわり分のコーヒーを注文し愛用のステンレスボトルに入れてもらった。おかわり分は日替わりの豆らしく、アイスコーヒーにした。深煎りの豆を使用しているらしく、酸味が少なくこちらも美味しかった。

 コーヒー店を後にし、昼食を食べる為にレストランに向かった。この日の昼食は俺の大好きなとんかつ店に行く事になっていた。

 俺はロースかつ膳を頼み、母はエビフライ膳。それを2人でシェアして食べた。そのお店はランチメニューがなかったので、グランドメニューを注文した。エビフライは車海老だった。初めて食べる車海老。柔らかくとても美味しかった。かつは、脂身もくどくないのでとても食べやすく、美味しかった。

 しかし食事も終盤になった頃、体調に異変があった。耳の閉塞感と音が遠くなる感覚。視界もぼやけて現実世界が遠のいていく感覚があった。すぐに母に異変を伝え時間を記録してもらった。会話はなんとか出来た。和が過去に似たような症状が出た時は意識が無くなったり完全に脱力したりがあったようだが、俺は意識は失わずに済んだ。だが、初めての経験で本当に意識を飛ばすかと思った。症状は5分程続いた。改善された後も少し後を引いたが、その後は特に問題なく過ごす事が出来た。今回の症状はほぼ間違いなく、解離症状の一種だろう。ただ、俺にその症状が出た事は今までなかったので驚いた。もしかすると、(あや)の統合が影響しているのかもしれない。その辺りも含めて、次回の診察で相談する予定だ。

 その後は近くの大型書店に向かった。ビル丸ごと書店になっていて、見た事のない本が沢山あって楽しかった。今度は、和が表に出ている時にでもみんなで来たいなと思った。

 そんなこんなで昼過ぎには向こうを出発し、帰路についた。帰宅すると、葵から「お誕生日おめでとう」とお祝いをしてもらい、夕方には汀が俺の好きなコーヒ豆を持って訪問してくれた。

 夜になり和に交代すると、内界のみんなと母でバースデーソングを歌ってお祝いしてくれた。和は、ミニチュアのケーキとぬいを使って記念撮影もしていた。これも和のお祝いの形なのだと思う。


 こうして、俺の初めての誕生日は終わった。とても楽しい1日だった。

 俺が表に出るようになって1年。なんだかあっという間だった。人格の人数も増え、状況も大きく変わった。新しい1年は、どんな1年になるのだろう。どうか和が穏やかに過ごせる1年であるように、と俺は祈っている。

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