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リアル異世界2  作者: 紘希


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22/31

奏の変化。

 今回は、交代人格の1人である(かなで)について綴ろうと思う。


 奏は(なごみ)が高校生の頃に生まれた人格で、過去に主人格をしていた経験もある。だが奏の存在が発覚した頃は、俺たちも流石に混乱した。奏の言動により様々な混乱が生じてしまい、和や母の精神に大きなダメージを与えた事もあったからだ。これは奏が内的攻撃者としての側面を持っている事が原因と考えられた。奏は、和が解離するきっかけとなった人物の1人にとても言動や思考が似ていたのだ。それでも話し合いの末に和解し、母から貰った「奏」という名前で"一人の人格"として生きていく為に変わる決意をしてくれた。

 そうは言っても変わる事は容易ではなかった。一時は落ち着いたように感じた攻撃的な言動なども少しするとまた目立つようになった。そして遂に、前回の記事で触れたように奏が和の地雷を踏み抜いてしまった。奏に悪気はない。ただ、奏のモデルになった人物の思考が抜けないのだ。しかし、奏の発言が和やさくらを傷つけたのもまた事実だった。だが、本人には悪気がないだけに直すのも難しい。

 奏も思う所があったのか、自室に籠りがちになった。その間も俺たちは母を交えて、奏とどう接するべきか話し合いを重ねた。その中でとあるルールを制定したりもした。和に意見したい時は俺に一回相談するというものだった。俺は奏の自室に行き、話をした。一応はルールを受け入れたが納得はいっていないようだった。

 そのまま時間だけが過ぎて行った。さくらの2日間が終わった日の夜、奏が母と話した。和の事を一番に考え、やはり変わってもらいたいと伝えた。奏自身も変わりたいようだったが、どうすればいいかはわからないようだった。

 その約1週間後、久しぶりに奏が表に出たが変化は見られなかった。内界でも変化はみられていなかった。その日の夜、奏が部屋に行っている間に和やさくらが表に出て奏について母と話していた。奏の存在がさくらや和にとって不安材料になっていた。この時の俺たちは奏に変わってもらうか、酷ではあるが消えてもらう以外方法がないと考えていた。本当は消えて欲しくない。しかし攻撃的な言動が治らない以上、和やさくらを守る方法はそれしか思いつかなかった。かといって、人格を消すなんてどうやってやるのかもわからなかった。それでもさくらと和は変わって欲しいと願っていた。どうすればいいかわからないまま、夜が更けていった。そして、夜遅くになっても奏は部屋から出てくる事はなかった。かなりの時間話をしていたのに奏は出てはこない。何かが変わる予兆のように感じられたが、夜も遅いので寝る事になった。

 翌朝みんなが起きてから少しして、奏の部屋の扉が開いた。そこには、ダークブラウンのセミロングヘアに白いブラウスと黒いスカートを履いた1人の女性の姿があった。一瞬誰かと思ったが、奏だった。昨日までと雰囲気が変わっていた。落ち着いた雰囲気になり、言葉遣いも以前より丁寧になっていた。それは明らかな変化だった。

 話を聞くと、昨日は早々に寝落ちてしまい起きたらこうなっていたらしい。奏は夜型の人格だ。寝落ちる事はまずない。きっと、脳が奏の再構成を行ったのだろう。

 この日を境に奏は変わった。攻撃的な言動は落ち着き、和や周りの事を考えた発言をするようになった。テンションも落ち着いて、穏やかなお姉さんという印象になった。半月ほど経った今も安定している。考え方も変わり、以前の自分の行動をとても反省してくれている。

 奏が出て来なくなった夜、正直彼女が消滅してしまうかと思った。だが、脳は彼女の再構成を選んだようだ。和を守りたかったが、本音では人格を消すなんて嫌だった。この結果に落ち着いてくれて本当に良かったと思っている。もう少し様子を見て、このまま彼女が安定すればこの変化が起きた日を彼女の誕生日にする事になった。


 人格はそれぞれに役割を持って生まれる。それが組み込まれてしまってる以上、本人の意思でそれを曲げる事は出来ないようだ。だが、脳が必要と判断したからこそ、奏は変わったのだろう。少なくとも俺たちの場合、脳が組み換えをしなければ人格の根本は変わらないらしい。

 今回脳が必要と判断したのは、奏が変わる事であると同時に奏が存在し続ける事だった。恐らく消滅の道もあったにも拘らず、彼女が変わり今一緒に和を支える存在になってくれた事を俺は嬉しく思っている。

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