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一難去ってまた一難。

 今回も、B型事業所の事について綴ろうと思う。

 3D指導員さんとの一件が一段落した頃、9月に突入していた。俺たちの場合、個別支援計画で月に1度はサビ管(サービス管理責任者)と面談をする事になっている。8月末に(なごみ)が通所した際、9月の初週に面談をしたいと申し出があった。そこで和は9月初回の通所日がサビ管の出勤日と被っていたので、そこで面談をしてもらえるかもしれないと考えていた。運よく朝は和が起きられた事もあり、和が通所した。だが、待てど暮らせど面談の呼び出しが掛からない。サビ管に声を掛けられた際に「今日は面談しないんですか?」と訊くと「今日はしないよ。明々後日。」と当然のように言われた。前回会った時はそんな事は言っていなかったし、その日は俺たちは休みだ。「明々後日は休みです。」と言うと、「じゃあ明後日。だから和ちゃんが来てね。」と言われた。確かにその日は出勤日だが、和が行けるかはその日にならないとわからない。和は「なるべく来られるように頑張ります。」と答えていた。するとサビ管は、「紘希(ひろき)くんはもういいのよ。紘希くんは淡々と喋るし紘希くんは別にもういい。紘希くんの言いたい事はもう十分わかったからもういいの。和ちゃんと話したいの。」と言ってきた。和は「私が言葉にするのがあまり得意じゃないので、そこを汲み取って紘希が代わりに話してくれてるんです。」と言ってくれたが、サビ管は「別に汲み取らなくていいのよ。紘希くんじゃなくて、和ちゃんと話したいんだから。」と返してきた。そんなこんなで会話は終わったのだが、和としては「紘希くんはもういい。」と言われたのが悲しかったようだ。俺は自分が言われる分には苛立ちを通り越して笑えてきた。いくら何でも言い方というものがあるだろうと。

 そして俺としては、サビ管の「汲み取らなくていい」という言葉の方が引っかかった。発達障害の特性上、感情を自覚したりアウトプットするのが得意ではなく、想い伝えるという行為は和にとってはかなりの労力を要する。そんな和の想いを聞き汲み取りながら、俺がアウトプットする事も俺の役割の1つだ。つまり、面談の時に俺が出るのにはしっかり意味があるのだ。

 勿論、和と話をしたいというサビ管の考え自体はもっともだと思う。和は基本人格で事業所と契約しているのは和だ。俺たちは、和の中の人格に過ぎない。だが、言い方を考えて欲しかった。和は俺たち人格がぞんざいな扱いをされたり、軽視される事をとても嫌がる。以前、さくらが3歳というだけで事業所の機材を壊さないかなどを危惧したサビ管が、さくらが出るのは困ると言ってきたことがあった。さくらは賢い子でそういった事はしないと説明してもダメだった。その事もあり、今回の事で一時は回復したサビ管への好感度もまた下がってしまった。一度抱いた不信感を払拭するには時間がかかるだろう。

 結局、面談予定日は和ではなく俺が通所した。何となく予想はしていたが、面談は延期となった。和の体調不良の理由を訊かれる事もなかった。和の調子がいつ戻るかはわからないが、和が通所しなければ面談は行われない。先延ばしにしてもそれはそれで和の不安が募ってしまうので、不安はあるが近いうちに和が通所出来ればと思っている。面談が負担なるようであれば、途中で交代してもいいのだ。


 一難去ってまた一難。なかなか理解を得るのは難しいなと実感する今日この頃だ。

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