B型事業所と支援。
今回は、B型事業所であった出来事について綴っていきたい。
和は今、3Dモデリングを事業所ではやっている。このエッセイでも何度か登場しているが、俺たちの通う事業所には3D指導員が在籍している。作業についてわからない事があれば、指導員に相談する事になっている。
和の場合、ASDの特性から何をモデリングするのかを自分で決めるのが難しい。「好きなもの」という抽象的かつ選択肢の多いテーマだと選ぶ事が難しくなるのだ。そこで、俺から和の特性を説明した上でテーマを決めてもらえないかと相談してみた。するとそれについては快諾してもらえた。それから和は、【課題制作→添削→修正→最終チェック→完成】という流れで作業をするようになった。わからない部分は自分で調べつつ、それでもわからない時は質問をしながら作業を進めていた。
しかしある日、指導員さんが1週間休暇を取る事が判明した。指導員さんが休暇に入る前日、その間の不明点をどうしたらいいかを和が相談した。事業所のサービス管理責任者は、リモートで他の系列事業所に在籍する指導員に繋げられると言っていたが、具体的な方法については知らされていなかったからだ。すると予想外の返答が返ってきた。要約すると、「他の事業所の指導員も自分の事業所の事で手一杯なので、リモートで繋ぐ事は出来ないし、今のような指導員が居なければ作業が出来ない状況っていうのが一番困る。今すぐにとは言わないがわからないところは自分で調べて解決し、作業内容についても自分で決められるようになってほしい。」というような事を言われたのだ。『これのどこがおかしいの?』と思う人も居るかもしれない。確かに正論だ。健常者や専門学校の生徒などに言う場合は。問題は、和は複数の障害を抱えており今回の依頼は障害特性による困難さの支援である事。そして和が通っているのは就労継続支援B型事業所という福祉施設である事。何より、指導員は福祉施設の職員である事なのだ。
就労継続支援B型雇用契約を結んでの就労が困難な人を対象に、生産活動の場の提供と支援を行うサービスだ。つまりサービスの特性上、個々の障害や疾患に合わせた支援を行うのが職員の仕事なのだ。指導員は作業についての指導と支援が主な職務だが、俺たちの通う事業所ではサービス管理責任者以外福祉を学んだ事がないらしい。確かに指導員は福祉系の資格は必須ではないが、指導員として勤めてる以上は『福祉に携わる者』である事に変わりはない。
俺たちは障害とその特性を説明した上で支援を依頼した。ASDの特性上、具体的な指示がない状況での行動は難しいからだ。そして学習障害や視覚認知面の障害からネットで調べてもそれを読み解くのが難しい事もある。それを一概に「他の利用者さんにもそうお願いしてるので」という理由で支援をしないのは個々に合わせた支援とは言えないのではないだろうか。
そして今回の場合、言われた台詞が過去のトラウマと重なりフラッシュバックや記憶の想起に繋がってしまったというのもあった。これに関しては、何が地雷になるかは指導員にはわからないだろうが、DIDという疾患の特性上、トラウマが多い事は予想できるので、言い方を考えて欲しかった部分はある。和が事業所を利用し始めて1年以上経った。ほぼ毎日通所をしている訳でそれなりに関わりもある。度々障害特性についても説明はしているので、『知らない』では済まされないと思ってる。
この件については、事業所の方針なのか指導員の個人的意見なのかの確認も必要なので、後日俺が通所しサービス管理責任者と面談をしようと思う。