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人格の名前と改名。

 今回は、人格の名前について綴ろうと思う。


 (なごみ)の交代人格は現状4人。その中の1人、桜良(さくら)が改名をした。改名と言っても大きく変わる訳ではなく、漢字からひらがなの『さくら』に変更したのだ。なのでこれからは、エッセイ内でも『さくら』と表記する。

 前にも綴った通り、さくらの元々の名は本名だった。これはさくらが和のニコイチ的存在で常に2人で表に出ていながら交代を頻繁に繰り返して生活していたからだ。そして、和が小3の春にさくらだけが表に出た際に「さくら」という声が聞こえて名前が付いた。幼いさくらは身の回りに居た人が皆、漢字二文字の名前だった事から『名前は漢字二文字のもの』と思い、和が高校生になってやってきたのあに漢字を考えて貰ったそうだ。だが、さくらは基本的にひらがなしか書けない。人格たちの名前は書く事が出来るが、ひらがなの文章に突然漢字が混ざると変な感じがするらしく、さくらが書く時は全てひらがなにすると決めたらしい。

 では何故正式に改名する事にしたのか。それは、母に名前を付けて欲しかったからだそうだ。俺たち人格は最初から名前を持っていたり、さくらが知っていたりする場合がほとんどだが、(かなで)だけは母が付けた。さくらは、和同様母の事が大好きだ。そんな大好きな母に名付けて貰えた奏が羨ましかったらしい。だが、『さくら』という名前自体は母が名付けたかった名前の1つだったらしい。和の本名は父親が付けているのだが、幼少期に和が母に「ままが名前つけるなら何て付けた?」と訊くと「桜とかかな」と答えたそうだ。母はその記憶はないらしいが、女の子の名付けをするならば和風で漢字一字もしくはひらがなの可愛らしい名前がよかったそうなので、違和感はないらしい。

 そこで、さくらは改めて母に名付けて貰う事にした。漢字一文字とひらがなの案があったが、さくらのイメージにはひらがなが合うだろうという事でひらがなになった。改名を報告した姉たちにもなかなかに好評だった。

 桜の花が大好きなさくら。母に名付けて貰えてうれしかったようだ。


 俺たち人格にとって名前はとても大きな価値がある。表に出てしまえば、内界の体ではなく基本人格の体を使う。すると、容姿や声も変わってしまう。そんな中で残るのが名前だ。勿論戸籍はないので、公的には本名を名乗るしかない。しかしカミングアウトをしている相手であれば、人格名を名乗る事が出来る。DID当事者の中にはあえて表では本名で統一しているという人たちもいるが、名前がアイデンティティの核になる事に変わりはないのではないだろうか。俺自身、自分で考えた訳でも誰かに付けて貰った訳でもないが、紘希(ひろき)という名前は気に入っている。のあも奏もきっと同じだろう。

 人格で戸籍がないからと言ってポンポンと改名するのはいかがなものかとも思うが、さくらの場合はさくらがより自分らしく生きていくために意味のある改名だったと思っている。

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