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駆け抜けろ!〜シグナルレッドの箱根駅伝〜  作者: ミチナリねるねる
エピソード0 駆け抜けろ!!
21/22

第19走 苦悩する浜上順平

登場人物


◯ 櫛部川 敦史(30歳)


早稲田学院大学 出身


箱根駅伝に4年連続出場し、

名実ともにエースとして活躍!

総合3連覇の立役者となる。


大学卒業後は、非公式ながらも

マラソンの日本新記録をマークするなど

その将来を大いに期待されつつも、

謎の体調不良イップスのため、

第一線から身を引いていた。


今回、後述の妻・晴美の説得もあり、

城西拓翼大学のヘッドコーチ就任を受けた!


現在、もう1人の新コーチを勧誘すべく

単身大阪へ飛ぶ。


◯ 浜上 順平(27歳)


櫛部川の実業団時代の後輩。

現在は母校である難波学園正堂高校の

駅伝部コーチに就任していたのだが…。


城西拓翼大学駅伝部に

陸上同好会メンバー5人の

合流が決まって1週間後…。


この日、

城西拓翼大学駅伝部の

ヘッドコーチである櫛部川は、

とある男に会うために、

大阪府にある全国屈指の強豪、

難波学園正堂高校を訪れていた。


その男の名は『浜上 順平』。27歳。

本高校の駅伝部OBであり、

現在は、同校の体育教師と

駅伝部のコーチを務める。


現役時代の高校2年次には

すでに不動のエースとして活躍。


同年の全国高校駅伝では『花の1区』で

区間賞を獲得したことにより、

箱根駅伝に出場権のある

関東地区の有力大学のうち、

複数校から推薦の話が持ち上がっていた。


しかしながら、

翌年、指導者から課された過度な練習により、

右足疲労骨折、さらにはアキレス腱を負傷する。


その結果、

「浜上は再起不能もはやおわり。」

と言う噂が立ちあがったことにより、


大学のスカウト達は、

1人、また1人と

潮が引くかのように、


そう、まるで手のひらを返して

見捨てるかのように去っていき、


浜上順平の箱根駅伝で活躍する夢は

ここに潰えたのであった。


だが、このまま終わってはいけないと、

持ち前の反骨心まけずぎらいから

『打倒!関東勢!!」という

目標を掲げた浜上は、

箱根駅伝に出場権が与えられていない

関西の立令館大学に進学する。


1、2年次はリハビリに時間を費やしたが、

その後はただ激しい練習をするのではなく、

自分の身体に合った練習メニューを模索。


すると、それが功を奏したのか、

メキメキの力を付けていき、

大学3年次には、全日本大学選手権ぜんにほん インカレ

ハーフマラソンで5位入賞を果たしたほか、


4年次の全日本大学駅伝で

アンカーを務めれば、

激戦区・関東地区予選を

勝ち抜いた強豪大学を抑えて

チームを7位から大学最高順位である

3位に押し上げるといった活躍を見せた。


大学卒業後は、夢であり、

憧れの存在である櫛部川が

所属する実業団・NB食品に入社したが、

高校時代に負った怪我が再度悪化し、

3年後に無念の引退。


退職をせずに、

社業に専念する道もあったが、


過酷な練習が原因で

自身のような辛い経験を

若い世代にはさせたくないという思いから、

第二の夢である母校の体育教師に赴任した。


が、しかし…。


母校・正堂高校をとりまく現実は

浜上が思っていた以上により

残酷な環境と化していたのである。




(こんな、こんなはずじゃなかった…。)


難波学園正堂高校、

一軍調整組・二軍用練習エリアにて。


この日も浜上順平はうなだれるように、

下を向くようになっていた。


現役の頃は、いつも前を向きで

爛々と輝きを放っていた瞳は

日に日にくすんでいき、

目の下にはクマができている。


赴任から2年間で、

昔から端正でありながらも、

精悍であると評判な顔つきは、

同一人物とは思えぬほど

やつれきっていた。


「おーい!順平ー!」


ふと懐かしい声に気づき顔を上げると、

グラウンドの入り口から、

笑顔を見せながら

右手で大きく手を振り近づいてくる、

そう、あの憧れの櫛部川が見える。


一瞬、浜上に笑顔が戻るが、

目を逸らすように再び顔を下げ、

櫛部川にも背を向けてしまった。


(やはり、あのウワサは本当みたいだな。

先日、約束アポをとるために

電話をした時もそうだが

たしかに順平の様子がおかしい。)

と、櫛部川が察する。


涙を堪えているのか、

耐えがたい感情を内に秘めた

浜上の身体が震えているのが分かった。


「順平…、

やっぱりうまくいっていないのか?

江古川監督と…。」


「すみません。櫛部川さん。

生徒たちの練習後に

あらためてお会いできませんか?


この高校しきちの外で。」


浜上の小さな震える声が

悲痛な叫びに聞こえる。


(ずっと1人で耐えてきて、

すべてを抱え込んできたんだろうな。)


そう思うと櫛部川も

胸の内から堪えきれない何かを

感じずにはいられなかった。

次回、浜上がその重い口を開く…。

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― 新着の感想 ―
遂に登場ですか! センスがありながら、根性と反骨精神で這い上がる男はこれからどういう動きをするのか!? 楽しみですね!
2026/02/21 16:04 マスターネルネル
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