第2走 岡林の返信
城西拓翼大学の1年生を名乗る
斧田のメールに
ざっと目を通すと、
岡林は、
イスの背もたれに寄りかかり、
右手で顎を摩りながら、
「ふぅー。」と息を吐いて
天を仰いだ。
(学校側から、
監督要請の連絡が来るなら
まあ、分かる…。
だが、学生…、
しかも1年生がこんな大技を
仕掛けてくるとはな。
しかも、
文章力はそれなりに高いし、
何よりも箱根駅伝への
アツい情熱が感じられる。
コレが本当なら面白いが、
イタズラの可能性も
無きにしも非ず…。
だが、それはないか。
普通に考えれば
門前払いの可能性もあるのに、
この勇気を邪険にあつかえん。
せめて返事くらいはしておこう。)
岡林の返信は早かった。
内容を要約すると次のとおりだ。
『その勇気は賞賛に値する。
指導者を依頼するならば、
大学側から正式にオファーを
出して欲しい。
また、他の条件としては、
一年以内に箱根を目指す上での
設備(寮や競技環境)を整えること。
コーチの選出、選手のスカウトは
こちらに一任してもらうこと。』
などが書かれていた。
そして、最後に
ユーモラスにこう付け加える。
「メールを読む限り、
長距離部員は君1人みたいだが、
『僕たちを指導してくれ』とは
これ如何に?」と。