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駆け抜けろ!〜シグナルレッドの箱根駅伝〜  作者: ミチナリねるねる
エピソード0 駆け抜けろ!!
14/18

第12走 悩みとその夢の狭間で

登場人物


◯ 岡林 正裕


日本長距離界において、

実業団や大学駅伝に至るまで

数知れぬほどの

輝かしい実績を

残した名指導者。


女子実業団の

にこにこ堂の監督を最後に、

陸上界からは身を引き、

故郷の熊本県で妻・鞠江と

共に余生を過ごすと決めていたが、


箱根駅伝に挑戦したいという大学生、

斧田謙信からのメールをきっかけに

城西拓翼大学駅伝部の監督に就任した。


現在、コーチ候補である

櫛部川敦史を説得中


櫛部川くしべがわ 敦史あつし


早稲田学院大学 出身


現・NB食品陸上競技部、

長距離部門コーチ


学生時代、

箱根駅伝は4年連続出場。

1年次は脱水症状による失速から

区間最下位に沈み苦渋を舐めるも、


2年次 1区 区間賞、

3年次 3区 区間2位

4年次 4区 区間新記録(当時)

と名実ともにエースとして活躍!

総合3連覇の立役者となる。


大学卒業後は、非公式ながらも

当時、『無敵』と呼ばれた古瀬比己寿の

マラソン日本記録を大幅に更新し、

大いにその将来を期待されていた。


日本代表合宿にて、監督の岡林のみならず、

前述の『無敵』の古瀬ヘッドコーチや

『双子の最強ランナー』の宋茂・猛コーチの

指導を一身に受けていたが、

謎のイップスが発症し、マラソン競技を断念。

古瀬たちの下を去ることを決めた。


その後は、主戦場を1万mに移しつつ、

実業団・NB食品の長距離コーチを務めていたところ、


岡林から城西拓翼大学の

コーチ就任の誘いを受ける。

NB食品陸上競技部、

クラブハウスにて。


「それじゃあ、クシ。

また会おうな!


今は即答できんだろうが、

奥さんと相談しながら

よく考えるといいさ。


いい返事を待ってるぞ。」


城西拓翼大学・駅伝部監督、

岡林が両手でバシバシと

まるで櫛部川に期待を込めて

そして激励するように

彼の両肩を数回叩くと


また、

その大きな身体を揺らしつつ、

颯爽と帰っていく。


(さて、どうしたらよいものか…。)


だが、悪い気はしなかった。


久方ぶりに会ったと思ったら、

一方的にコーチ就任を要請し、

あの頃と相も変わらず

ガハハハと機嫌よく笑う。


強引パワフルな人だよ…ホントに。」


小さく呟きながら、

休憩室にあるコーヒーマシーンの

ボタンを押した。


こんなに悩みの深い日には

やはり熱々のエスプレッソを

ブラックで飲むに限る。


「熱ッ!…。」


(なんだか落ち着かないな。)


『奥さんと相談してみるといい。』


岡林のこの言葉フレーズが、

頭の中を駆け巡る。


(マジで嫁さんに

なんて伝えりゃいいんだよ…。


でも大学駅伝のコーチかぁ。

まさか、岡林さんから、

そんな夢みたいな話が

舞い込んでくるなんて…。)


そうこう考えていると

いつもより頭を

フル回転させたせいだろうか、


時間が経つのが

いつもより速く感じた。


ふと腕時計に目をやると、

時計の針はすでに

午後3時を回ろうとする。


(ああ、そうだ。

今日は1番上の娘…

保育園に預かってもらっている

小春を迎えに行く日だった!)


「皆んな、時間が来たし、

お先!また明日な!」


「櫛部川コーチ、

今日もおつかれさまでした!」


櫛部川は子供が産まれて以来、

実業団に所属する傍ら、

時短勤務や育休を積極的に取得していた。


彼は社業、実業団、家庭の

全てを両立させた日本で初めての

実業団選手としても有名であり、


所属するNB食品においても

社内一のイクメンと呼ばれている。


「いいパパだよなー、

櫛部川さんは。」


「本当だよ。

その上、スタイルも抜群、

顔立ちも性格も男前!

奥さんも美人だし、


いつもキレイ目なシャツを

さらっと着こなす

ファッションリーダーだ。」


「ああ、俺たちもあんな風に

なれたらいいな。」


ワークライフバランスを重視する

近年の若者らしい会話だ。


「でもさ。

やっぱり引き受けるのかな。


城西…拓翼大…だっけ?

そこのコーチの話。」


「いやいや。ないない。

クシさんの母校、

早稲田学院大じゃない…

縁もゆかりも無いところに

コーチをやる理由なんて

あると思うのかよ?


早稲田学院ワセガク以外の

チームで指導者になるなんて

ありえない。


ぜぇったいにありえないって。」


「だけど、その早稲田学院は、

あの古瀬さんの後継者だった

櫛部川さんを、イップスを理由に

指導者候補からあっさりと除外して


実業団でより実績のある

同期の花山さんや

後輩の渡部さんを監督に

選んできたわけじゃないか?


現実的に考えれば、

母校ワセガクの指導者になるには

さすがに難儀だと思う。」


「それにさ。


今日の櫛部川さん、

困ってた風のわりには、

いつもよりすごく

嬉しそうだったぜ。


帰っていく姿が、

なんて言うか、こう。


まるで子ども放課後に、

友達と遊びにいくみたいでさ。」


「確かに…。」


(本当に大学駅伝がすきなんだよな。

櫛部川コーチは。)


教え子たちは皆そう思うと同時に、

櫛部川との別れを予感していた。

次回、


櫛部川、己の人生かけて

妻・晴美の説得に挑む!

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― 新着の感想 ―
やっぱり奥さんの説得と協力がないと厳しい状況ですよね。 立ち上げのメンバーを集めるのは大変ですね。 先を楽しみにしています!
2026/02/11 20:17 マスターネルネル
ついに、ジョーダイの箱根への道のりが、開かれるんですね ワクワクします 新たな魅力的も加わり、楽しみです
2026/02/10 22:10 イクヨネルネル
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