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悪役貴族は殺されたい。~やりたい放題してるのに、なぜかみんなが慕ってくる~  作者: あおきりゅうま
第一部 悪役貴族は死ぬべきなのか?
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第1話 ド外道貴族——シリウス・オセロット

◎簡単な登場人物一覧


〇主人公


・シリウス・オセロット(17歳・ルキウ歴1100年4月28日生まれ)


・容姿———金髪碧眼、長さはロング。シュッとした顔立ちに細くて筋肉質な体。

・身体———182cm・62kg。

・所属———聖ブライトナイツ学園二年二組・騎士ランクS・生徒会長。

・身分———貴族。学園のある地域テトラ領、領主の長男。

・能力———不明。体内に有する大量の魔力にて防護壁や筋力増加。大気を操作し暴風を巻き起こすことなどが可能。



〇ヒロイン


・アリシア・フォン・ガルデニア(15歳・ルキウ歴1102年3月31日生まれ)


・容姿———肩まで伸びる赤い髪・緑色の瞳・胸は小ぶり。

・身分———王族。ガルデニア王国第三王女。

・所属———聖ブライトナイツ学園一年三組・騎士ランクD。

・身体———157cm・44kg B-79 W-55 H-78。

・能力———創王気(そうおうき)。光の魔力を自らの身体や、剣に纏うことが可能。創王気は熱エネルギーを持ち、高熱で触れた者を焼くこともできるし、纏っている個所は能力が増強される。身体であれば筋力増強。物質であれば硬質化。


〇本来の主人公


・ロザリオ・ゴードン(15歳・ルキウ歴1101年8月31日生まれ)


・容姿———茶髪、前髪で目元を隠している。顔立ちは童顔だが整っている。体つきはひ弱。

・身分———平民。だが本当は暗殺された前国王の息子。

・所属———聖ブライトナイツ学園一年二組・騎士ランクD。

・身体———164cm・56kg

・能力———得意魔法は未だなし。騎士見習いとして基本的な魔法は身に着けている。平均的な聖ブライトナイツ学園の一年生。


〇ヒロイン


・ルーナ・オセロット(15歳・ルキウ歴1101年9月15日生まれ)


・容姿———桃色の髪を右側で一つ編んで肩に乗せている。瞳の色はグレー。

・身分———テトラ領、領主の妾の子。一応シリウスの妹扱い。

・所属———聖ブライトナイツ学園一年二組・騎士ランクC。

・身体———158cm・45kg B-86 W-54 H-82。

・能力———(じゅう)魔法。本来は魔物を操るための魔法で、魔物と意思疎通をしたり、使役したり、意志を奪って操ったりできる。ルーナはそれを古代兵器(ゴーレム)を操るのに主に使用している。その媒介としてギャラルホルンの杖という特別な魔石がハマった杖を使っている。



〇ヒロイン


・アン・ビバレント(15歳・ルキウ歴1101年6月1日生まれ)


・容姿———雀頭(じゃくとう)色(茶色に近い赤色)。瞳の色は黒。吊り眼。小柄だが巨乳、トランジスタグラマー。

・身分———平民。元々ビバレント家は貴族だったが没落した。

・所属———聖ブライトナイツ学園一年三組・騎士ランクB。

・身体———145cm・46kg B-90 W-55 H-89。

・能力———武器を媒介に使った斬撃魔法。マフィアに所属しているためある程度の暗殺道具、武器は使いこなせる。



〇嫌味な性格の許嫁


・ミハエル・エム・プロテスルカ(15歳・ルキウ歴1101年7月11日生まれ)


・容姿———青髪でワカメのようなウェーブがかかっている。タレ目

・身分———プロテスルカ帝国第一王子

・所属———聖ブライトナイツ学園一年五組・騎士ランクA。

・身体———167cm・57kg

・能力———土魔法のエキスパート。20cmほどの細い杖を指揮棒のように扱い、土を様々な形に変えて攻撃する。一番得意な攻撃は土で大砲を作る、『岩土大砲(グランカノン)



●サブキャラクター


〇マフィア『(スコルポス)』のボス


・グレイヴ・タルラント(68歳・ルキウ歴1049年11月9日生まれ)


・容姿———顔の右側半分に大きな火傷の痕を持つ老人。短髪で鷹のような鋭い目をしている。

・身分———平民

・所属———表の顔はタルラント商会会長。裏の顔はマフィア『(スコルポス)のボス。

・身体———181cm・71kg

・能力———不明。



〇シリウスの父


・ギガルト・オセロット(68歳・ルキウ歴1049年7月2日生まれ)


・容姿———常に眉間に皺が寄り苛立っているような表情を張り付けている。

・身分———貴族。テトラ領領主。

・所属———王立魔導機関『デウス』の主任。

・身体———175cm・80kg

・能力———不明。

 鏡の中に金髪碧眼でロングヘアのイケメンがいた。


「誰だ?」


 超絶ブラック企業で寝る間も惜しんで働いていた俺。

 一ヶ月ぶりの帰宅に胸を躍らせて夜の街を歩いていると急にフラフラと立ちくらみ、クラクション音が響いたと思ったら、意識がなくなった。


 ———そして、次に目が覚めると見知らぬ部屋にいた。


 天涯付きのベッドに金で装飾された高級そうな家具が敷き詰められた部屋。テレビのドキュメンタリー番組で見た、中世ヨーロッパの貴族の部屋にそっくりだ。


「ここは……?」


 声を発してみたが、自分のものとは思えない超低音のイケメンボイスが部屋に響く。具体的に言うと声優の関〇一みたいな……。


「ん?」


 鏡の中には金髪のロン毛以外の人間はいない。つまりこのイケメンは———俺自身だ。


「おいおいおい……誰なんだよこいつは? もしかして……、」


 ペタペタと顔を触る。


 すると〝鏡〟に映ったイケメンも俺と全く同じ動きで顔を触る。


「———やっぱ、俺かぁ⁉」


 ああ、これが異世界転生って奴か。

 俺、死んじまったんだ。

 ()かれたのか過労死かはわからないけど……もう死んじまった今となってはどうでもいい。

 切り替えよう。

 なら———次の来世を楽しむだけだ。


「と———思っては見たもの……こいつはどういう設定のキャラ……な、んだ……?」


 ———この顔と声、見覚えがある。


 人を殺していそうな瞳孔の開いた眼に、サラサラの女のような綺麗な金髪を靡かせた細く引き締まった体は、着ている真っ白な学ランの上からでもわかる。

 何か見覚えがある……遠い昔に見たような……。

 あ———、


「こいつ———昔ちょっとだけハマったギャルゲー、『紺碧(こんぺき)のロザリオ』のシリウス・オセロットじゃねえか‼」


 『紺碧のロザリオ』は剣と魔法のファンタジー世界を舞台にしたゲームで騎士を目指す平民、主人公ロザリオ・ゴードンが騎士学園で貴族に虐められながらも努力し、逆境(ぎゃっきょう)を跳ねのけて最後は国の英雄に成るという王道ストーリーだ。


 舞台となる(せい)ブライトナイツ学園は騎士を育てるための学園であり一応、貴族も平民も平等に扱うと言う名目は立てている。が、格差は存在する。


 その中で平民のロザリオに対して過酷ないじめを続ける貴族———その、筆頭が何を隠そう、このシリウス・オセロットだ。


 ド(くさ)外道(げどう)


 メインシナリオライターから発せられた、物語上でのシリウスのポジション。

 聖ブライトナイツ学園の生徒会長でありながら、権力を乱用(らんよう)暴虐(ぼうぎゃく)の限りを尽くし、ネットのギャルゲーユーザのファン投票で『今年のクソキャラランキング』で第一位に輝いてしまったとんでもないクズキャラである。


「嘘だろ……こんな鬼畜外道(きちくげどう)に転生してしまうなんて、死ぬの確定じゃねぇか……こいつクズ過ぎて、温厚で優しい主人公が唯一殺すことになるキャラなんだぞ……」


 生き残るなんてもっての他。


 『紺碧(こんぺき)のロザリオ』の五人のヒロインのルートに入る前の共通ルートでシリウスは死ぬ。

 必ず死ぬ。

 それも、シリウスとの決闘イベントが〝主人公が真の力に目覚める覚醒イベント〟になり、それぞれのヒロインのルートのラスボスを倒すための技を習得する重要なイベントとなる。


 主人公ロザリオは元々虫も殺せないほど、心の優しい人間で、他の敵貴族は殺していないのだが、シリウスは彼に体を真っ二つにされて殺される。


 だが、そのことに対して特に良心の呵責に苛まれることもなく物語は進んでいく。シリウスの命を奪ってしまった後悔とか、ロザリオは全く抱くこともなく。


 後日、メインライターからは「ロザリオのキャラならシリウスを殺してしまって後悔の念を持つべきだが、カットしました。だってヒロインとのストーリーを進める上で邪魔だし、シリウスだからいいかなって。誰も悲しむやつとか復讐するやつとかいないだろうし、だってシリウスだし」とまで言われ、その収録にいたスタッフから爆笑が起きていた。


「シリウスだしいっか……じゃねぇ! なんでこんな絶対に死ぬキャラに転生しちまったんだ……転生するんならチート持っててヒロインに囲まれた超絶イージーモードで、ハーレムが約束されているような感じじゃねぇの⁉ どうしてこんな……絶対に死ぬキャラで、死なななきゃいけないキャラで……えぇ~……俺前世で何かしたかぁ? 真面目に働いてたのに……」


 ———地獄(じごく)の先もまた、地獄(じごく)だった。


 そんな昔のアニメのフレーズが思い出される。


「うっわぁ~……まだ死にたくねぇ……でも、シリウスって昔からクズで、この時点ですでに人殺して(いん)ぺいとかもしてるからなぁ……ヒロインの一人の親父殺してて、復讐されるって展開、あるからなぁ……」


 俺は悩んだ。


 どうやってシリウスで生き延びることができるのか……どうやって……そしてそれが正しいのか……?


 悩みに悩んだ末に出た結論が。


「———よし、やっぱ諦めよう!」


 来世に辿り着いたが、その人生も諦めることにした。


「俺は生きたいが、シリウス・オセロットは女は犯すし、人は殺すし、罪を人に擦り付ける最低最悪のド外道だ。これから俺の行動次第でそれが防がれるのならともかく———もうやっちゃってんだもんね」


 若くして、救いようのない奴なのだ。


 だから———、


「また、来世に期待してとっとと殺してもらおう」


 俺が死ぬことによって主人公が覚醒する。

 覚醒しなければこの先のシナリオで出現するラスボスたちを倒すことができない。


 なら———もう、運命を受け入れよう。


「ポジティブに考えよう。一度異世界転生できたんだから、今回死んでもまたできるさ。それを信じてとっととイベントを進めて殺してもらおう。こんなやつ生きていたって百害あって一利なしなんだし……」


 頭を掻き、「ハハッ」とやけくそ気味に笑う。


 そうだ。

 どうせ死ぬんだから、やりたいほうだいやってヘイトを稼いで、イベントを()きで進めてしまおう。


 こんなクズ—――シリウス・オセロットがこの世界にいる時間を短くしてもらい、俺はとっとと次の人生のガチャを引くことにしよう……。

 

 一度転生できたんだから、また転生……できる……よね?


カクヨムにも掲載しています!


今の自分の全身全霊を込めて書いている作品です!

感想頂けると嬉しいです!

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