ある静かな時
ある静かな時
居間の冷りとした板の間を
裸足で歩くと
笑い声や話し声が
もうひっそりと
眠りについて
ただ安らかな
今日が明日に少しだけ傾くとき
一つ一つの星のように
明かりを消した部屋に
灯る
ひたひたと押し寄せる
甘い暖かな寂しさ
冷たくなったつま先に
白い月の光り
外では暗く茂った木々が
真珠色に溶けていく
一人
それがとてもふさわしいことのように
静かな時が
私を抱き寄せる
柔らかな闇の中
親しい物たちが
私に寄り添って
静けさに一緒に耳をすませる